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【ここまで進んだ最新治療】線維筋痛症に新たな選択肢! 慢性の痛みを磁気で緩和する磁気治療機器

 検査をしても体に異常が見つからないにもかかわらず、全身に強い痛みが起こる「線維筋痛症」。原因はよく分かっていないが、脳が痛みを感じる機能に障害が起きていると考えられている。

 根治療法はなく、これまで治療の柱は薬物療法。2012年に神経障害性疼痛治療薬(ブレガバリン)、15年に抗うつ薬のSNRI(デュロキセチン)の2剤が保険適用になっている。どちらも腰痛や神経障害の痛みなどの慢性疼痛に使われている薬だ。

 そんな数少ない治療選択肢に、新たな治療法が加わろうとしている。来年には医療機器の承認が見込まれている低侵襲の「磁気治療機器」だ。

 8年ほど前から医療機器メーカーと共同で開発、臨床試験を進めてきた「東京八重洲クリニック」の岡寛院長=顔写真=はこう話す。

 「薬物療法は確かに有効ですが、眠気、めまい、悪心、便秘などの副作用の頻度が多く、痛みは緩和できても生活に支障をきたすのが問題でした。それで副作用の少ない、新たな治療法が求められていました。この治療機器は非常に微弱な磁気を体外から照射するだけで、痛みや不快などの副作用はほとんど考えられず、薬物療法と同等、もしくはそれ以上に高い疼痛緩和の効果が期待できるのです」

 治療機器は、本体(約15センチ×約9センチ)からUSBでつながれた4つのパットを体に貼り付けて使う。線維筋痛症の場合は、最初に痛みが表れた「首・肩」か「背中・腰」の4箇所に貼り付けて磁気を1回30分、1日1~2回照射する。機器本体は体に装着できるので、治療中は安静にしておく必要はないという。

 しかし、発生する磁気は市販の磁気ばんそうこうの「10万分の1」と「3000~5000分の1」の2種類で、非常に微弱。なぜ、痛みを取る効果があるのか。

 「この微妙な磁気エネルギーを患部に当てると、疼痛抑制効果をもたらす神経栄養因子の産生と、脳内の鎮痛因子のホルモン(セロトニンやβエンドルフィン)の産生を促すのです。このような作用は磁気が強すぎても起こりません。薬物療法で同様の効果を得るには、薬効成分の血中濃度が高くなるので副作用が出やすくなるのです」

 効果が期待できるのは線維筋痛症だけでなく、急性から慢性の腰痛、月経痛、がんの化学療法後の手足のしびれや痛み(末梢神経障害)などの慢性疼痛も検討中という。承認されれば、まずは臨床試験に参加している医療機関(全国数施設)を中心に機器を患者に貸し出して治療を開始する。レンタル代は月額2万円前後になる予定という。

 臨床試験では薬を止められた人もいる。普及すれば慢性疼痛に悩む患者の恩恵は大きいはずだ。(新井貴)

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