zakzak

記事詳細

自分の書きたいことを書かない… 10周年記念12カ月連続刊行企画の第1弾 中山七里さん『騒がしい楽園』 (1/2ページ)

★中山七里さん 『騒がしい楽園』(朝日新聞出版 1500円+税)

 「どんでん返し」を得意とし、さまざまな作風の物語でヒットを重ねている中山七里さん。本作は幼稚園を舞台に事件が起きるミステリー。作家生活10周年を記念して、12カ月連続で新刊を刊行するという企画の第1弾だ。(文・井上志津 写真・酒巻俊介)

 --2015年刊行の『闘う君の唄を』の続編ですね

 「今回は前回脇役だった神尾舞子先生を主人公にしました。僕は感情的な人間と論理的な人間を対比して小説の中に置きますが、舞子は後者のタイプ。もともと2作目の『おやすみラフマニノフ』に出てくるキャラクターで、読者に人気があるんですよ」

 --編集者のリクエストは「待機児童と殺人」だったとか

 「いつも取材はしないのですが、家の3つ隣に幼稚園があり、子供が小さいときに通っていたので、いつも以上に必要ありませんでした。当時から騒音問題や、『幼稚園は必要だけど近くには来てほしくない』といった公共性と個人の権利の対立が起きていましたね。そんな状況が行き過ぎると殺人も起こりかねないよということで書いてみました」

 --10周年記念12カ月連続刊行企画の第1弾ということですが

 「第1弾になった理由は、出版予定の順番が一番早かったから。10周年に何かしようと考えたときに、たまたま新刊が12の出版社から出ることになっていたので、まとめて毎月出そうということになりました」

 --毎年、奇数月に単行本、偶数月に文庫本の計12冊を発行しているのが、今年は計19冊というわけですね

 「5年先まで出版の予定が決まっているんですよ。原稿もできています」

 --プロットの作り方が早くて、独特だと

 「最初に三日三晩、集中して考え、頭の中で400字詰め原稿用紙の1枚目から最後のページまで完成させます。書き留めません。原稿用紙の1枚1枚を画面として記憶していて、あとはその文章を頭の中からダウンロードして書きます。この方法を始めたのはデビューしてからですね。当時はまだ会社員との二足の草鞋を履いていたので、急に舞い込んできた注文を早くこなすために編み出しました」

 --デビューが決まったとき、「3年で最低10冊上梓する」「最低でも3つのジャンルを書けるようにする」などの「中山七里5カ年計画」を自らに課したとか

 「最初に覚悟を決めておいたということです。そうしなければ作家生活は長続きしないと思いました。この計画を達成するために一番決め手になったのは、自分の書きたいことを書かなかったこと。それよりは読者の読みたいものを一定のクオリティーを保ちつつ書こうと思いました。でも読者に『どんなものを読みたいですか』と街頭インタビューすることはできませんから、編集者のリクエストに応える形で書いています」

 --連載執筆の合間にSF小説を執筆されている。それは自分の書きたいものですか

 「書きたいというか、自分が読みたいものですね。筆休めにちょこちょこ書き足して、もう原稿用紙600枚以上になりました。書籍化する気は全くありません。時々読み返して、一人で悦に入っています。読ませてくださいという編集者もいますが、絶対いやですね。売り物でないものを見せるわけにはいきませんから。自分の趣味です」

 --この10年は

 「あっという間でした。締め切りがあると人生は短いですね」

関連ニュース

アクセスランキング