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脳波計を駆使し最先端の「てんかん」治療

 ■東京女子医科大学東医療センター(東京都荒川区)脳神経外科講師・久保田有一さん(46)

 東京女子医科大学東医療センター(東京都荒川区)は、20の診療科と450の病床を持つ地域の拠点病院。ここの脳神経外科講師を務める久保田有一医師は、「てんかん」の診断と治療の領域において高い知名度を持っている。

 埼玉県内の民間病院で国内有数の症例数を重ね、昨年11月から現在の病院に転籍してきた。

 久保田医師の赴任に合わせて同院が導入したのが、多チャンネル脳波計という最新のてんかん診断機器。

 「開頭して、脳表に直接電極を設置する脳波計で、最大128極の脳表脳波を測定できる。これにより、てんかん発作をおこす“焦点”と呼ばれる場所を同定し、外科的に切除することができるようになりました」

 久保田医師によると、この脳波計の導入により、東京都区東北地域(足立、荒川、葛飾区)における難治性てんかんの外科治療がはじめて可能になったという。

 全国のてんかん治療医の注目を集める久保田医師が、「新しい職場で取り組みたいテーマ」は三つある。

 「まず、新しい脳波計の開発。これはすでに進行中で、数年後の実用化を目指す段階です。二番目に、若手医師に多い“脳波嫌い”を減らすこと。これは、多チャンネル脳波計の導入により、実践的に脳波に興味を持てる教育環境の整備を進めていきます。そして三つ目に考えているのが、“脳科学者や哲学者との共同研究”。これも、新しい脳波計を使うことで生きた脳からの電気活動を記録できるようになり、文化とは、芸術とは、生きるとは-など人間の根源的な疑問を解き明かすカギが見つかる可能性が出てきました」

 医療の中でも未知の領域とされてきた「てんかん」。久保田医師はその暗闇に、最先端の科学技術で、光をあてていく。 (長田昭二)

 ■久保田有一(くぼた・ゆういち) 1973年、静岡県生まれ。98年、山形大学医学部卒業。2003年、東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科助教。その後、米・クリーブランドクリニックてんかんセンターフェロー、仏・ティモン病院神経生理部門客員研究員を経て11年、朝霞台中央総合病院(現・TMGあさか医療センター)脳神経外科部長。その後、同脳卒中・てんかんセンター長兼統括部長、副院長を経て、19年から現職。TMGあさか医療センター脳神経外科臨床顧問を兼務。医学博士。趣味は「温泉・銭湯めぐりとワイン(特にブルゴーニュ)」。

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