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【歯周病とコロナ 感染予防を追う】ウイルスとの戦いで疲れた免疫系に…口腔内の細菌が追い打ちをかける!

 新型コロナウイルスの第2波、第3波の襲来に備えて、いま取り組んでおきたい対策の一つとして、口腔内の清潔を保つ「オーラルケア」に注目が集まっている。

 「口腔疾患の多くは口の中に棲みついている細菌によって引き起こされますが、オーラルケアを怠ると自覚症状のないまま細菌は増殖していく。あまり知られていないことですが。口の中の細菌が増えると問題は口腔内に留まらず、インフルエンザなどの感染症リスクを高めることになるのです。当然新型コロナウイルスの感染発症にも口腔内細菌は関与します」

 そう語るのは、片平歯科クリニック(東京都渋谷区)院長の片平治人歯科医師。詳しく解説してもらおう。

 「新型コロナウイルスは、肺の細胞に入り込むことで増殖し、そこに現れる免疫細胞にも感染することで免疫システムの過剰反応を招きます。たとえば“好中球”という免疫細胞は、本来の敵であるウイルスだけでなく正常細胞にも攻撃をするようになる、あるいは感染した細胞に自殺を命じる役割の“キラーT細胞”は、健康な細胞にも自殺をそそのかすなど、病変部位に免疫細胞が集まるほど現場は混乱し、肺の組織は損傷を拡大していくことになるのです」

 いわゆる「サイトカインストーム」と呼ばれる状態だが、話はそれだけでは済まないという。

 「やがて免疫系が正常に戻ったとしても、肺を保護する上皮細胞が深刻なダメージを受けているため、高齢者や基礎疾患があるなどの“抵抗力が弱い人”は、普段なら無害な細菌の影響で肺炎を引き起こすことがあるのです。それまでのウイルスとの戦闘で疲労困憊(こんぱい)の免疫系は、今度は新たに増殖した細菌との戦いを余儀なくされ、ついに力尽きて重症化するのです」

 つまり新型コロナウイルスとの戦いは、単にウイルスだけが相手ではなく、背後でウイルスを手先のように扱う細菌の存在にも注意を払わなければならない-ということなのだ。

 では、そこにオーラルケアがどのように関係してくるのか。片平院長は、コロナウイルスの背後に潜む菌として、口腔内細菌の存在が重視される、と指摘する。

 「口腔内細菌の中でも、とりわけ危険なのが歯周病菌です。歯周病菌は、ウイルスが人間の体に進入する時に必要な糖タンパクを活性化させる働きをします。つまり、歯周病菌はコロナウイルスへの感染を手助けする働きを持っているのです」

 しかも、すでに触れた通り、コロナウイルスが大暴れして焼け野原になった肺の細胞に現れて、その被害を壊滅的な状況にするのも、歯周病菌などの口腔内細菌であることが多いのだという。

 「個人差はありますが、睡眠中は誰もが少なからず唾液を誤嚥しており、口腔内細菌が気管支を通じて肺に流れ込んでいます。それでも免疫系が正常な時なら大きな問題は起きませんが、コロナによる攻撃を受けている時は細菌性肺炎を引き起こすリスクが高まるので命取りになってしまいます」

 こう続ける。

 「新型コロナの感染を防ぐ意味でも、また万一感染してしまった時に重症化を防ぐ意味でも、オーラルケアをきちんとしているか、歯周病菌などの口腔内細菌を少なくしているか-が、その後の治療成績を大きく左右することになりかねないのです」

 一見無関係に見える「新型コロナ」と「オーラルケア」が、意外な線で結び付いた。

 次回は、口腔内細菌が別のルートで肺炎発症をアシストする、「菌血症」について解説する。(中井広二)

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