“漂流”する「高齢おひとりさま」 家賃、費用の滞納や孤独死リスク…国の支援を求める声 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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“漂流”する「高齢おひとりさま」 家賃、費用の滞納や孤独死リスク…国の支援を求める声

 単身高齢者が住まいを借りられなかったり、入院や介護施設への入所を断られたりして「漂流」するケースが相次いでいる。身元保証人がなく、家賃、費用の滞納や孤独死のリスクを敬遠されるためだ。核家族化や少子化が進み、人生の終盤には誰もが「おひとりさま」になりうる時代。国による支援を求める声も上がり始めた。

 3畳半の個室に、介護用ベッドとポータブルトイレ、テレビに電子レンジが所狭しと並ぶ。木村道治さん(68)=仮名=が横浜・寿町の無料・低額宿泊所で暮らし始めてから11年が過ぎた。

 「仮住まいのつもりだったが、ついのすみかになるんじゃないかな」

 木村さんは56歳の時に脳梗塞で倒れ、左半身にまひが残った。結婚歴はなく、遠方の親戚も疎遠。警備員の仕事を解雇され、社員寮からも退去させられた後、生活保護を受給することになった。

 リハビリを終え、医療ソーシャルワーカーの鎌村誠司さん(40)とともに退院後の賃貸住宅を10カ所以上回ったが、全て断られた。障害者手帳を交付されており、優先的に入居できるはずの市営住宅にも落選した時には「心が折れた」。鎌村さんは「家族がいないのは自己責任ではない」と、差別的な対応に憤る。

 課題は住居の賃貸契約にとどまらない。厚生労働省研究班などの調査では医療機関の65%が患者の入院時に身元保証人を求め、保証人がいない場合は入所を拒否する介護施設も約30%に上った。

 元気で不自由なく暮らしていても、突然の事故や病気で窮地に-。そんなリスクに備えようと、有料で保証人を請け負うサービスもある。

 NPO法人「りすシステム」(東京)は「契約家族」をうたい、スタッフが通院や介護サービスに付き添ったり、緊急入院に対応したりする。死後は葬儀や遺骨の引き取り、賃貸住宅や介護施設の契約解消を含め、利用者が希望することは全てサービスの対象だ。

 事前の預かり金のほか、付き添いの日当、交通費などで最低でも総額100万円ほどかかるが、単身高齢者や子供がいない老夫婦に加え、最近は親と同居する40代の未婚者も申し込むという。

 65歳以上の単身高齢者は増加傾向にあり、2040年には900万人近くに達すると見込まれている。身元保証サービスは増え続けているが、法外な料金を請求する悪質な業者も。高齢者を支援する行政書士の江崎純子さんは「どんなサービスにどれだけの費用がかかるのか、契約前に内容を吟味することが不可欠」と指摘した上で、国がサービスの基準や身元保証支援の仕組みを整える必要があるとしている。

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