【ぴいぷる】作家・門井慶喜「父に付けられた名前が歴史作家への道を運命づけた」 直木賞の受賞から2年、新刊「銀閣の人」上梓 (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ぴいぷる】作家・門井慶喜「父に付けられた名前が歴史作家への道を運命づけた」 直木賞の受賞から2年、新刊「銀閣の人」上梓 (1/2ページ)

 ■隠された功績伝えたくて…

 直木賞の受賞から2年半。新作の依頼が殺到し、生活は激変した。

 「内面は受賞前とまったく変わっていないのですが」と前置きした上で、「正直、外面(の環境)は大きく変わりましたね」と打ち明けた。

 現在、レギュラーだけで連載小説2本に連載エッセー4本。そこに講演やトークイベントなどの依頼、さらに映像化や舞台化の相談などが不定期に飛び込んでくる。

 「自分が書くべきテーマを仕事に選ぶというスタンスは受賞前と変わっていません」。そう強調するが、締め切りに追われる生活は売れっ子作家にとって宿命で、「もう少し時間の余裕がほしい」と心情を吐露した。

 直木賞受賞後、歴史作家としての地位を着実に築き上げてきた。

 新作「銀閣の人」も銀閣を建てた室町幕府第八代将軍、足利義政が主人公の歴史小説だ。「銀閣建立を通じ、義政が築いた東山文化が、後の日本の文化に与えた影響がどれほど大きかったか…。政治家、文化人として彼が遺した功績は少なくない。それを伝えたかった」と語る。

 群馬県桐生市生まれ。栃木県の宇都宮市で育ち、県立宇都宮東高校へ進学する。

 慶喜は本名だ。江戸幕府第十五代征夷大将軍、徳川慶喜と同じこの名に対し、「もの心付いた頃から意識せざるを得なかった。小さい頃は嫌でしようがなかった」と打ち明け、こう続けた。

 「歴史好きの父に付けられた名前が自分の歴史作家への道を運命づけた。今ではそう思います」

 家の本棚に月刊誌「文芸春秋」の既刊号がずらりと並ぶ父譲りの歴史好きが高じ、「歴史の都・京都で学びたい」と同志社大学へ進学。憧れの古都で直に歴史に触れながら大学生活を送った。

 ■資料や蔵書7000冊収容

 4年前に刊行した「ゆけ、おりょう」は坂本龍馬の妻、おりょうが主人公の歴史小説。おりょうの機転で龍馬暗殺を阻止した舞台、京都・伏見の寺田屋事件の現場は、学生時代から慣れ親しんだ庭のような場所である。

 幼い頃に作家を目指すが、実際に小説を書き始めたのは遅く、文学賞に応募し始めたのは20代後半になってから。

 大学卒業後、宇都宮へ戻り、帝京大理工学部の事務職員として働きながら小説を書いていたが、オール読物推理小説新人賞の最終候補に選ばれたのを機に大学職員を辞めた。29歳だった。

 だが、受賞を逃し、その後も2回連続で同賞の最終候補に残りながら落選。「やってしまった…と思いましたね」。それでもあきらめず、3年後に同賞を受賞。その2年後、京都に近い大阪府寝屋川市へ転居した。

 「妻の実家があったから」と話すが、理由はそれだけではなかった。

 なぜ、家康は関東へ行き、江戸を築いたかをひもとく「家康、江戸を建てる」。近江商人の町・滋賀県近江八幡市に永住し、日本各地に数多くの名建築物を遺した建築家、ヴォーリズを主人公にした「屋根をかける人」など、次々と繰り出す新作は、関西に本拠地を構えることで、いずれも独自の鋭い観察眼で描かれ、新たな歴史小説の流れを作りだした。

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