【ここまで進んだ最新治療】双極性障害のうつ、新たな保険適用薬「ルラシドン」に期待 海外では10年近く使用 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ここまで進んだ最新治療】双極性障害のうつ、新たな保険適用薬「ルラシドン」に期待 海外では10年近く使用

 昔は「躁(そう)うつ病」と呼ばれていた「双極性障害」。気分が高まる「躁状態」と気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す脳の病気で、およそ100人に1人がかかるとされる。

 今年5月、「統合失調症」および「双極性障害のうつ症状」に対して「ルラシドン(商品名・ラツーダ)」という抗精神病薬が保険適用になった。統合失調症では「セロトニン・ドパミン受容体遮断薬(SDA)」という種類の薬の選択肢が1剤増えたことになるが、双極性障害に対しては初めてSDAが使えるようになったことになる。

 双極性障害の治療に、どのようなメリットがあるのか。東京女子医科大学病院・神経精神科の稲田健准教授が説明する。

 「双極性障害のうつ状態は手ごわく、あまり良い薬がなかったという現状がありました。それが今回、SDAのルラシドンの効果がきちんと確認され、しかも副作用が少ないということで、かなり期待できる薬が保険適用で使えるようになったというわけです」

 双極性障害は放置したり、適切な治療を受けていないと再発を繰り返すのが特徴。いったん症状が治っても服薬を止めてしまうと再発してしまうので、長期間にわたって服薬を継続していくことが大切になる。

 治療で用いる薬は、躁状態とうつ状態の治療と予防に効果がある「気分安定薬(炭酸リチウムなど)」の服薬を基本として、躁あるいはうつ症状が出現したら「非定型抗精神病薬」を併用し、症状が安定したら非定型抗精神病薬を休薬するという治療が行われている。

 「これまで双極性障害のうつ症状に対して保険適用になっていた非定型抗精神病薬は、『多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)』という種類の2剤のみでした。しかし、この2剤とも体重増加や血糖値上昇の副作用があり、糖尿病患者さんや糖尿病の既往歴のある患者さんには禁忌です。一方、ルラシドンは体重増加が起きにくく、糖尿病も禁忌ではありません。幅広い患者さんに使えるのです」

 ルラシドンは、海外ではすでに10年近く使用されており、海外のいくつもの診療ガイドラインで最初に使うべき第一選択薬として推奨されているという。

 「うつ状態」なら「抗うつ薬」を使えばいいのではないかと思ってしまうが、使わない理由がある。双極性障害のうつ状態に抗うつ薬を使うと、うつ状態から急に躁状態が出現する「躁転」が引き起こされることがあるからだ。

 「しかし、患者さんが双極性障害のことを知らずに、うつ病と思って受診すると抗うつ薬が使用されることがあります。過去に躁状態を経験したと思われるなら、そのことをきちんと医師に伝えることが大切です」(新井貴)

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