腸内の善玉菌を優位にする「73のスープ」 腸の健康状態チェックリスト ベストセラー健康法
ウイルス感染防止のため免疫力を上げることが重要なのはよく知られている。しかし、忘年会や初詣すら行きづらいストレスフルな生活の中、どう免疫力を高めればよいのか。ヒントは腸にあった。
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東京医科歯科大学名誉教授で免疫の専門医である藤田紘一郎氏は、81歳の今も現役の医師を続けている。大病はもとより、風邪ひとつひかないそうだ。
そんな藤田氏も50代までは不摂生をしており、痛風や糖尿病も経験。一念発起して様々な食事法に取り組んだ。その一つが「腸を強くするスープ」。新著の『免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』(ダイヤモンド社)では、自身が今も飲み続けるスープの魅力を紹介している。
使用するのは、腸内環境を整える食材や調味料。実は、免疫細胞の7割は腸に存在している。そのため、腸が健康になれば免疫力が高まり、インフルエンザや新型コロナウイルスなどにかかりにくく、長生きできる身体を作れるという。
腸にある善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3種類の菌のうち免疫力をアップするのが善玉菌。日和見菌は善玉菌にも悪玉菌にもなりうる。その黄金比は善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%ほど。善玉菌を悪玉菌に比べて優位な状態にキープすることが健康づくりのカギになるそうだ。
別項のチェックリストを見てみよう。これらの項目はすべて、腸の中で悪玉菌が優位になる要因であり、3個以上当てはまる場合は生活の改善が必要だという。
善玉菌を優位な状態にするのに必要なのが、食物繊維や抗酸化成分を多く含む野菜、善玉菌のエサとなる発酵食品、腸のバリア機能を強化する短鎖脂肪酸など。スープなら、水に溶け出た食材の栄養素をまるごと吸収できる。また、温かいスープは血行を促進し、内臓の働きをアップすることにもつながるそうだ。
本書には野菜をたっぷり使ったもの、骨付き肉や魚を豪快に使ったものなど73点の長寿スープのレシピを掲載。なかでもユニークなのは、発酵食品を用いたスープ。キムチ、納豆、ヨーグルト、しば漬けなど、スープでは思いつかない食材を巧みに取り入れている。
料理が苦手でもスープならコトコト煮込むだけ。肉や魚のうまみや野菜の甘みがたっぷり溶け出しているため、ほんの少し調味料を足すだけでおいしいという。もちろん、日常的に料理している人にとっても本書は使いやすい。巻末に材料別の索引があるため、冷蔵庫を覗いて、余っている食材から作るスープを選ぶこともできる。
「長寿の秘訣は、病気をしないこと。著者の当たり前すぎるその指摘にハッとさせられました。おいしいスープで心と身体を温めることが、命を守る行動につながります。みなさまどうか体調に気をつけて、よいお年をお迎えください」(編集を担当したダイヤモンド社の中村直子さん)
宴席が激減したこの冬。お手製のスープで、身体だけでなく、心もじんわりと満たされそうだ。 (井田峰穂)
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■腸の健康状態 チェックリスト
□生活が不規則である
□疲労がたまりやすい
□運動不足
□夜更かししがち
□深酒しがち
□ストレスが多いと感じる
□野菜不足
□脂肪のとりすぎ
□糖質のとりすぎ
□お腹が冷えている
□睡眠不足
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※3個以上当てはまる場合は生活のリセットが必要