【ここまできた男性不妊治療】不妊治療で男性が消極的になるワケ 検査で会社を休むのは難しく、婦人科受診にハードルも - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ここまできた男性不妊治療】不妊治療で男性が消極的になるワケ 検査で会社を休むのは難しく、婦人科受診にハードルも

 「不妊は夫婦で取り組むもの」という意識は、昔よりは浸透してきてはいる。しかし、いまでも一般的に女性よりも男性の方が、不妊検査や治療を受けることに抵抗を持つ傾向が強い。

 厚労省が行った調査(平成27年度)によると、精液検査を受けたタイミングの問いに対して、「女性の検査と同時期」が約42%だったが、「女性の検査が終わってから」の方が約47%と高い。また、精液検査の結果をどのようなかたちで聞いたのか、の問いには、「夫婦そろって聞いた」が約46%ある一方、「女性1人で聞いた」も約39%と高い。

 どうしてこのような温度差があるのか、男性が消極的になる要因はどのようなことが考えられるのか。東邦大学医療センター大森病院・リプロダクションセンター(泌尿器科)の永尾光一教授はこう話す。

 「男性は、不妊検査を理由に表立って会社を休むのは難しいと思います。それに女性も『仕事を休んでまで受診してもらうのは心苦しい』と遠慮するので、どうしても女性の検査が先行してしまうのでしょう。しかし、不妊の半数は男性にも原因があるので、『男性の自分には関係ない』という考えはあらためなくてはいけません」

 女性から精液検査を勧められた場合、女性患者ばかりいる婦人科に足を運んで精液採取をしなくてはいけないと思うので、これにも抵抗があるはずだ。しかし、男性不妊専門施設や専門外来のある施設では、AVなどが置いてある精液を採取する専用の個室(採精室)が用意されている。婦人科を受診するより、かなりハードルが下がるはずだ。

 また、「精子に問題があると診断されたらどうしよう」という恐怖心も受診を拒む要因の1つになる。しかし、精子の状態は、その日の体調やストレスなどによって変化する。1回の検査ですべて分かるわけではない。それに精子に問題があったとしても、早く治療をすれば妊娠も可能であることを十分理解しておくべきだ。

 「精力のつくサプリメントを飲んでいるので、自分は大丈夫だろうと思い込んでいる男性も多くいます。しかし、検査で分かる精子の所見と勃起力はまったく関係ありません。まずは男性不妊の専門医を受診して、治療可能な病気を見つけることが最優先です。サプリメントは原因が治るわけではなく、あくまで補助的な食品です」

 最初は積極的な男性でも、治療が進むと協力的でなくなる場合もある。不妊治療の最初のステップに「タイミング法」がある。女性の排卵日に合わせて性交することを指導されるが、これが男性にとって大変なプレッシャーになる。それで何か理由をつけて性交を拒否したり、勃起しない「排卵日ED」になったりするのだ。この場合、治療の進め方に無理がないか、2人で話し合ってみる必要がある。

 「男性が検査を受けなかったり、協力的でないと、女性の妊娠できる期間が刻一刻と減っていきます。妊娠を望むなら、女性が30歳を過ぎた頃までには男性不妊の検査を受けるべきです」 (取材・新井貴)

 ■永尾光一(ながお・こういち) 1960年生まれ。昭和大学で形成外科学を8年間専攻。その後、東邦大学で泌尿器科学を専攻。両方の診療部長を経験し、二つの基本領域専門医を取得。2007年東邦大学医学部准教授(泌尿器科学講座)、09年現職。日本性機能学会理事長。日本生殖医学会副理事長。日本メンズヘルス医学会理事。NPO法人男性不妊ドクターズ理事長など。

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