【ベストセラー健康法】認知症になった認知症専門医と娘の生き方 『父と娘の認知症日記 認知症専門医の父・長谷川和夫が教えてくれたこと』 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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認知症になった認知症専門医と娘の生き方 『父と娘の認知症日記 認知症専門医の父・長谷川和夫が教えてくれたこと』

 人生100年時代で、誰でもなりうる「認知症」。にもかかわらず、家族が、あるいは自身がいつか認知症になることに対して、不安や恐怖心を抱いている人は少なくない。そんな不安を解消するヒントが1冊の本になった。

 認知症医療の第一人者にして、2017年に自らが認知症であることを公表した長谷川和夫医師。彼の60年に渡る日記帳や雑記帳に娘・まり氏のエッセーを添えた『父と娘の認知症日記 認知症専門医の父・長谷川和夫が教えてくれたこと』(中央法規出版)。

 「著者の長谷川先生は『認知症になって、かえって世界が広がった』と話し、積極的に公の場に出て、人々と交流し、人生を謳歌しておられます。どうしたら、そんな生き方ができるのか。日本で一番有名な認知症専門医とその家族がフォトエッセーで“認知症になってもあきらめない”生き方をお伝えできたらと思いました」。そう話すのは、担当編集の寺田真理子氏。

 長谷川医師の日記と、当時を振り返るまり氏のエッセーの両面から、認知症との向き合い方が立体的に浮かび上がる。例えば、長谷川医師が心身の変調を自覚した記述がある。

 《講演として約1時間くらい話した。ところが自分が何を話すべきかときどき分からなくなった。3回位おきる。何とかゴマかしゴマかして終わった》

 そこにまり氏の補足。 《2015年頃から、めまいの症状がたびたび出るようになりました。日記には血圧の数値と歩数を必ず記載しています。一人で講演先に向かうとき、電車の乗り場を間違えたり、建物の中でエレベーターの場所がわからず迷ったりすることもあったようです》

 周囲の先生方から遠回しに「もう講演はやめたほうがいいのでは」と言われ、まり氏がサポートの必要を感じたのも、この頃からだという。

 考えさせられるのは、認知症になった本人の意思を家族が尊重することの重要性だ。認知症は「危険」「周りに迷惑をかける」といった理由から、本人がまだできることまでも取り上げられてしまうケースが多い。家族としては良かれと思っての判断だが、本人の意思は置き去りになる。その点、まり氏は「本人がやりたいと言っている」と、父のチャレンジを応援する。

 簡単なことではない。例えば、父がラジオ番組に出演する際、話したことを忘れて何回も同じ話をしてしまうのではないかと心配しながら付き添う。講演会では突然シャウトしてしまったとき、慌てつつ父のこだわりに思いをはせる…。そこには介護しているという感覚はないという。

 長谷川医師も今の思いをこう語る。

 「認知症になっても、それで終わりではない。また戻ってこられる。今はケアを受ける立場になったが、患者になっても学び続けたいと思っている。人様のお役に立てるよう発信し続けたい」

 本書の《本人も家族も、大変だけど幸せ》という一言に、この上なく豊かな生き方と心の絆を見た。(田幸和歌子)

 ■認知症とともに心豊かに生きるヒント【元気が出ない日】誰だって気分の波はある。そんなときはそばにいて、ゆったりとお茶でも一緒にできればいいかな

 【映画鑑賞】映画とランチはいつもセットで、2人で楽しみに。何回も同じことを言うこともあるけれども、そこは一番父にとって印象的だったんだな、と伝わってくるから共感できる

 【心の振動は共鳴する】人が人を思う温かい気持ちや、それを伝えたいと思う心の振動は、その人を忘れてしまっても伝わるんだと思った

 ※南高まり氏のエッセー部分から抜粋

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