【ベストセラー健康法】マンガで学ぶ“歯科診療の誤解” 『デンタルクエスト』(集英社) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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マンガで学ぶ“歯科診療の誤解” 『デンタルクエスト』(集英社)

 コロナ禍による外出制限を理由に、歯科健診の受診を控えている人が増えている。しかし、歯科健診は不要不急ではない。誤った判断は取り返しのつかない事態を招く危険性がある。今回はそんな歯科医療に対する認識を改めさせるコミックスを紹介する。

 小欄でマンガを取り上げるのは珍しいが、今回紹介するのは医療、しかも歯科領域に潜む問題を浮き彫りにする社会派の作品だ。

 『デンタルクエスト』(セキアトム原作、箸井地図作画、集英社刊)は、「グランドジャンプむちゃ」の連載作品。歯科衛生士という国家資格に誇りを持ち、患者本位の診療に取り組む主人公・歯守リンゴが、歯科診療の重要性、口腔内に起き得る疾患のメカニズムと治療法、さらには歯科医院を「経営」の側面から検証するなど、新しい医療コミックスの姿を提示している。

 「50~70代を対象に『健康について後悔していること』をたずねたアンケートで、『歯を大事にしていれば』が首位だったことを知ったのがこの作品を世に出すきっかけ」と語るのは、原作を手掛けたセキアトム氏。

 歯科医院を「痛くなったら行くところ」と考えている人が多い。しかし、現実の歯科医院は単なる「治療」の場ではなく、「予防」を実践する場としての機能を大きくしている。まずその事実を知り、歯科との向き合い方を変えることが必要だということに、この作品は気付かせてくれる。

 冒頭で、コロナ禍で歯科受診率が低下していることに触れたが、これはきわめて深刻なこと。

 日本歯科医師会常務理事の小山茂幸歯科医師はこう訴える。

 「歯科医師による定期的な介入がないと、口腔環境は急速に悪化します。その結果、歯周病から糖尿病や血管系の疾患を悪化させたり、特に高齢者などは誤嚥性肺炎のリスクを高めることにもなりかねない。歯科は命に密接に関係する領域だということに気付いてほしい」

 この作品では、そんな歯科診療の本質に、主人公や周囲の歯科スタッフが切り込んでいく。

 「2050年には“人生100年時代”が来ると言われています。どんなにテクノロジーが進化しても、肉体をもってこの世に生きていることは変わらない。可能な限り不自由を排除して、喜びを長く享受するためには、口の健康がとても重要です。私は“知ること”が人生を変えると思っています」(セキ氏)

 扱うテーマは重たいが、そこはマンガなので、ストーリーは軽快だ。同じ量の情報を新書で身に付けようとしたら、読むだけで1日や2日はかかりそうだが、こちらは1時間か2時間もあれば読み終わる。それでいて、日本人が持つ歯科診療の誤解を解き、正しい知識を身に付けられる。コロナ禍を理由に歯科健診から遠ざかっていた人も、これを読み終えるころには歯科医院の予約を入れたくなる。そして、生きていく上で、いかに“歯”が大切な存在であるかを意識できるはずだ。

 「マンガなんて」と軽く見ている人にこそ読んでほしい1冊。 (竹中秀二)

 

 ■多くの人が持つ歯科診療の誤解

 □歯科は痛くなったら行くところ

 →いまは「予防目的」が診療の柱

 □コロナ禍での歯科受診は危険

 →国内の歯科医院でコロナのクラスター発生はゼロ

 □歯科衛生士は歯科医師の助手

 →「チーム医療」の重要な役割を担っている

 □歯科医院選びはクチコミで

 →ネット情報にのみ頼るのは危険

 □丁寧に歯みがきをしていれば健診は不要

 →どんなに丁寧に磨いても落とせる汚れは6割程度

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