【あきらめない肝臓がん】酒を飲まない人は「NASH」を警戒せよ! 脂肪肝/NASHを予防・改善する7カ条 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【あきらめない肝臓がん】酒を飲まない人は「NASH」を警戒せよ! 脂肪肝/NASHを予防・改善する7カ条

 「喝采」(ちあきなおみ)や「北酒場」(細川たかし)で日本レコード大賞を受賞した作詞・作曲家の中村泰士さんが肝臓がんで昨年12月20日に亡くなった(享年81)。中村さんが最初に体調不良を訴えたのは亡くなる約3カ月前で、遠隔転移はなく抗がん剤治療を受け、経過は良好としていたが、発覚から死亡までの期間があまりにも短すぎるケースとして世間に衝撃を与えた。

 知らぬ間に進行することが多い肝臓がん。このような例はよく起こるのだろうか。

 「他の病院の紹介状を持って私のところに来る患者さんの大半は中等度の進行肝臓がんの人です。中には肝臓がんと診断された時点でかなり進行している人もいます」

 近畿大学医学部の工藤正俊主任教授(消化器内科学)はこのように解説する。

 がんの臓器別の死亡数では肝臓がんは男女計で5位にランク(2019年、人口動態統計)され、依然として多い。

 読者のみなさんは肝臓がんといえば、酒の飲みすぎを真っ先に思い浮かべるかもしれない。「飲みすぎで肝臓の細胞が壊れることにより線維化が進行し、肝硬変から肝臓がんになります。アルコール性の肝臓がんは肝臓がん全体の10%以下です」。

 連載2回目で紹介したようなC型ウイルス性肝炎由来の肝臓がんがあるが、その状況には変化がある。

 「近年、C型肝炎ウイルスに対する飲み薬の治療薬がいくつも登場し、ウイルス除去に大きな成績を上げています。B型肝炎ウイルスもありますが、これはそれほど多くありません。このためウイルス性肝炎から肝臓がんになる人は今後、大幅に減ると思われます」

 ただ、医学の劇的な進歩で治療薬はできたのに、別のリスク因子の登場も。食べすぎ・運動不足などを主因として、脂肪肝からNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)に発展し、肝臓がんを発症する患者が急増しているという。

 脂肪肝は、肝臓に脂肪が異常に蓄積した状態。NASHは酒を飲まないのに脂肪肝が悪化し、生活習慣病の一種なので肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などに併発することが多い。「もちろん、このような生活習慣病を持っている人が飲酒すれば、発がんリスクはもっと上がります」

 このようなアドバイスをする工藤教授は「肝臓がんで亡くなる人を1人でも減らしたい」との思いを持ち続け、日本肝臓学会の「肝癌撲滅運動」を主導し最新の検査や診断技術の普及に尽力。

 同時に、肝臓がん薬物療法の開発・普及、新規治療法の開発にも取り組む。研究者として名高く、クラリベイト・アナリティクス社の「高被引用論文著者臨床医学部門」に2019、20年と2年連続で選出。これは世界の全論文のなかで引用回数が上位1%に入る研究論文を毎年、複数発表し続けていることを意味する。

 「肝臓がんが他の部位のがんと違うのは、原因が比較的はっきりしていることです。B型肝炎やC型肝炎の人は肝臓専門医での治療を受ける、大酒飲みの人は酒の量を減らす、酒を飲まない人はNASHに気をつけて生活習慣を見直してほしい」と呼び掛けている。 (取材・佐々木正志郎)

 ■工藤正俊(くどう・まさとし) 1978年京都大学医学部卒。米カリフォルニア大学デービスメディカルセンターなどを経て99年、近畿大学医学部消化器内科学主任教授に就任。クラリベイト・アナリティクス「高被引用論文著者・臨床医学部門」に日本人として初めて2年連続で選出。世界超音波医学会、アジア太平洋肝癌学会の理事長のほか、日本肝臓学会などの理事を多数歴任。

 

 ■脂肪肝/NASHを予防・改善する7カ条

 □食べ過ぎず腹八分程度にする

 □炭水化物を控える

 □脂っこい食事を控える

 □間食を控える

 □就寝3時間前に食事を終える

 □速歩きをする

 □階段を使うなど日々の運動習慣をつける

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