【ここまで進んだ最新治療】難病「NMOSD」の再発を予防 他の抗体薬と異なり再利用が可能 新薬「サトラリズマブ」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ここまで進んだ最新治療】難病「NMOSD」の再発を予防 他の抗体薬と異なり再利用が可能 新薬「サトラリズマブ」

 国内の有病率は10万人当たり3・42人で、難病に指定されている「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」という中枢神経の病気がある。免疫の異常によって脳や脊髄、視神経に炎症が起こり、炎症の部位によってさまざまな症状(別項)が現れる。

 初発の症状でも重症となりやすく、無治療だと年間1~1・5回再発する。再発のたびに神経の損傷や障害が蓄積されるので、失明や車椅子生活に至る恐れがある。その再発を予防する「サトラリズマブ」という新薬が、昨年8月に発売された。

 NMOSDに詳しい国立精神・神経医療研究センター/神経研究所の山村隆特任研究部長が説明する。

 「NMOSDの急性期(初発)には、『ステロイドパルス療法(静脈注射による大量投与)』や『血液浄化療法』が行われます。その後は、再発予防で『経口ステロイド薬』や『免疫抑制薬』が用いられますが、ステロイドは副作用の懸念から長期投与が難しく、免疫抑制薬は適用外処方でした。これまで高い効果が期待できる再発予防の承認薬がなかったのです」

 実は、2019年に重症筋無力症などの治療薬である「エクリズマブ」が、NMOSDの再発予防薬として適用拡大されている。「サトラリズマブ」は2剤目の承認薬になるわけだ。

 エクリズマブは2週間に1回の静脈注射で、年間薬剤費は約6000万円。サトラリズマブは4週間に1回の皮下注射で、年間薬剤費は約2000万円となる。この2剤は「モノクローナル抗体薬」という種類の薬になり、いずれも自己抗体である「抗AQP(アクアポリン)4抗体」を保有する患者(全体の6~7割)に使う。しかし、作用機序(効くメカニズム)は、それぞれ異なる。

 「抗AQP4抗体陽性の患者さんは、免疫異常によって増産されている抗AQP4抗体が、『アストロサイト』という中枢神経の細胞(AQP4)を攻撃して炎症が起こります。抗AQP4抗体の増産には、炎症性サイトカインである『IL-6』が関与しています。サトラリズマブはIL-6受容体に結合して、抗AQP4抗体の産生量を抑制するのです」

 また、サトラリズマブは他の抗体薬と異なり、「再利用が可能」という特徴がある。通常、抗体は抗原と結合すると、細胞内に取り込まれ、抗体ごと分解されてしまう。サトラリズマブはIL-6受容体に結合後、細胞内に取り込まれるが、細胞内の酸性条件下でIL-6受容体(抗原)を遊離するように設計されている。そして細胞外に放出され、再度IL-6受容体と結合が可能なのだ。

 治験では、免疫抑制薬にサトラリズマブを上乗せして効果を確認している。その結果では、プラセボ(偽薬)群と比べて再発リスクが79%減少したと報告されている。 (新井貴)

 

 ■NMOSDのさまざまな症状

 【視神経の障害】

 ・目が見えにくい

 ・視野が欠ける

 ・目の奥が痛い、など

 【脊髄の障害】

 ・手足や体の一部がしびれる

 ・感覚がなくなる

 ・強い痛みを感じる、など

 【脳の障害】

 ・しゃっくりが止まらない

 ・吐き気や嘔吐がある、など

 ※無治療だと年に1~1.5回の頻度で再発する

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