【ここまできた男性不妊治療】「無精子症」の実態と最新治療 原因は「パイプカット」や「鼠径ヘルニア手術による閉塞」など 手術費用は約20万円から (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ここまできた男性不妊治療】「無精子症」の実態と最新治療 原因は「パイプカット」や「鼠径ヘルニア手術による閉塞」など 手術費用は約20万円から (1/2ページ)

 射精した精液中に精子が見つからない「無精子症」。精巣で精子はつくられているが、精路(精子の通り道)が閉塞していて精子が出てこない無精子症を「閉塞性無精子症」という。

 原因は、避妊手術の「パイプカット」、子供の頃に行った「両側鼠径(ソケイ)ヘルニア手術による閉塞」、性感染症などによって起こる「精巣上体炎による閉塞」、生まれつき精管がない「先天性両側精管欠損」などがある。

 治療は、手術用顕微鏡を使って閉塞した精路を開通させる手術(顕微鏡下精路再建術)を行う。東邦大学医療センター大森病院・リプロダクションセンター(泌尿器科)の永尾光一教授が説明する。

 「パイプカットや鼠径ヘルニア手術による閉塞に対する精路再建術は、尿道側の精管と精巣側の精管をつなぐことから『精管-精管吻合(ふんごう)術』といいます。手術による精子出現率は、パイプカットでは約90%なので自然妊娠も可能です。しかし、鼠径ヘルニア手術による閉塞では、閉塞の期間が長いと手術成績や自然妊娠の確率は落ちます。ですから、全体の精子出現率は約63%、自然妊娠率は30%くらいになります」

 閉塞性無精子症では、精巣内の精子形成は盛んに行われている。そのため、精路再建術で精路が開通しなくても、まだ方法がある。顕微授精も治療の選択肢として考えている患者には、精路再建術と並行して精巣から精子を取り出す「精巣精子採取術(シンプルTESE)」を行って、精子を凍結保存するという。シンプルTESEは、陰のうの皮膚を1センチほど切開し、肉眼で精巣組織の一部を採取する方法だ。また、精巣上体炎による精巣上体管の閉塞では「精管-精巣上体管吻合術」という精路再建術が行われる。これは直径約3ミリの精管と直径約0・3ミリの精巣上体管をつなぐので、技術的に精管-精管吻合術よりも難しい手術になる。

 「精管-精巣上体管吻合術での精子出現率は約50%、自然妊娠率は25%くらいなので、この場合もシンプルTESEによって精子を凍結保存します。先天性両側精管欠損の場合は、精管自体がないので最初からシンプルTESEで精子を採取して顕微授精になります」

 いずれにしても精路再建術で精子が出現しても、自然妊娠するまでは術後10カ月くらいの期間が必要。ある程度、時間的(年齢)に余裕のあるカップルに勧められる治療法になる。余裕がない場合には、自然妊娠を待たずに凍結精子で顕微授精が行われるという。

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