【医療 新世紀】がん患者の体重を管理 自宅で無理なく続けられる「下肢筋力トレーニング」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【医療 新世紀】がん患者の体重を管理 自宅で無理なく続けられる「下肢筋力トレーニング」

 がんになると体重が減る現象はよく知られている。そのままだと体力が落ちて治療がうまくいかなくなるため、適切な体重管理が必要だ。京都府立医大と静岡県立静岡がんセンターのチームは、適切な食事と運動を組み合わせて体重減少を効果的に防ぐためのプログラムを開発した。京都府立医大の高山浩一教授は「将来的には広く高齢者の体力と健康に役立てることができそうだ」と話す。

 ▽悪液質

 特に注意が必要なのが「がん悪液質」だ。脂肪に加えて筋肉の量が減り続ける。増殖するがん細胞は、ただでさえ体に蓄えられたエネルギーを消費する。それに加えてがん細胞の周囲で起きる炎症反応によって、タンパク質や脂肪の分解が加速されることが最近になって分かってきた。

 初診時に患者の半数、終末期には8割が悪液質になっているとされる。痩せて自力で歩けず身の回りのこともできなくなると、厳しい治療には耐えられない。体重が多く減った人ほど治療成績が悪く、生存率が低いことが分かった。

 一方で抗がん剤は吐き気や味覚異常などの副作用も起こす。高山さんは「食欲がない時はあまり栄養のバランスを気にせず、味付けを工夫して好きな物を何でも食べてほしい」と話す。

 ▽相乗効果

 患者がリスクをあまり気に掛けていない側面もありそうだ。食欲不振や体重減少を心配する度合いは、患者本人より家族の方が高かったとのアンケート結果がある。

 高山さんはがん患者の食欲を増進させる薬「アナモレリン」を小野薬品と開発した。ただ、薬だけでは筋肉の減少を防ぐことができないことも分かってきた。

 そこで静岡がんセンター呼吸器内科の内藤立暁医長らと共同で進めているのが「NEXTAC(ネクスタック)臨床試験」。食事と運動の相乗効果で最初に低下しがちな下肢筋力の維持を狙う。

 2016年に実施した第1段階試験では、体重や身体機能が維持され、運動量も増えることを確認。第2段階試験では、食事や運動のアドバイスを受けた人と受けなかった人で効果を比較している。

 ▽無理なく継続

 欧米では、ジムなどで運動器具を使って行う患者向けトレーニングもある。ただ、日本のお年寄りのがん患者には厳しい。高山さんは「自宅で無理なく続けられるように負荷を減らす工夫をした」と説明する。

 下肢筋力トレーニングの例はこうだ。いすに座った状態から立ち上がる。座った状態で片脚を伸ばしたり、片膝を上げたりする。いすにつかまって片脚を横に上げる。

 食事は管理栄養士が、運動は理学療法士が患者ごとにアドバイスし、どうやって続けてもらうかが課題という。高齢者のフレイル(虚弱)防止にも役立つ可能性がある。「トレーニングそのものは誰にでも有効。将来は一般の高齢者を対象にした試験も考えている」と高山さんは話す。

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