【ここまで進んだ最新治療】若年性脳梗塞の再発を防ぐ「カテーテル治療」 手術時間は30~40分 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ここまで進んだ最新治療】若年性脳梗塞の再発を防ぐ「カテーテル治療」 手術時間は30~40分

 若い世代(50歳代以下)に発症しやすい「奇異性脳塞栓症」というタイプの脳梗塞がある。心臓の右心房と左心房の間の壁に「卵円孔(らんえんこう)」と呼ばれる穴が開いていることが原因で、脚の静脈にできた血栓がはがれて卵円孔から左心房に入り込むことで脳の血管を詰まらせる。

 奇異性脳塞栓症を発症した場合、これまで再発予防として血液をサラサラにする薬(抗凝固薬や抗血小板薬)を使って、血栓が作られるのを防ぐ治療が行われてきた。しかし、薬を一生涯服用する必要があり、出血の合併症のリスクがある。

 それが2019年12月に再発予防の治療法として、器具を用いて卵円孔を塞ぐ「カテーテル治療」が保険適用になった。どんな患者が対象になるのか。東邦大学医療センター大橋病院・循環器内科の原英彦准教授が説明する。

 「卵円孔は胎児のときに、心臓に血液を効率よく流入させるために開存していて、出生後に閉鎖します。しかし、実際には健康な人でも約4人に1人は卵円孔開存が認められ、通常は心機能には問題なく、治療の必要はありません。ですからカテーテル治療の対象となるのは、検査によって卵円孔開存が脳梗塞の原因である可能性が高い人。そして原則、60歳未満。女性は妊娠していない、かつ1年以内の妊娠を希望しない人です」

 治療は血管造影室や手術室で、カテーテル治療専門医、脳卒中専門医、心エコー専門医などで構成される「ブレインハートチーム」によって行われる。局所麻酔または全身麻酔をして、右脚の太ももの静脈から直径2~3ミリのカテーテル(細い管)を挿入し、エコー画像を見ながら心臓まで進めて行く。卵円孔を塞ぐ器具(閉鎖栓)は、カテーテルの先端に折りたたんだ状態で装着されている。

 卵円孔は丸い穴ではなく、くっついたり、離れたりする弁のような形状をしている。どのようにして穴を塞ぐのか。

 「穴を塞ぐ閉鎖栓は、形状記憶合金でできたワイヤをメッシュ状に編み込んだ傘が2枚ある構造をしています。カテーテルが卵円孔に到達したら、その傘を1枚ずつ開き、弁状の穴を両側から挟み込むようにして閉鎖します。適切な位置に設置できたら、閉鎖栓をカテーテルから外して、そのまま留置します」

 治療時間は30~40分。治療後は翌日から歩行でき、入院期間は前日入院で3泊4日。退院後は閉鎖栓が自分の心臓の膜で覆われるまで、血栓予防として半年間は抗血小板薬を服用。その後は脳卒中医と相談しながら内服期間を決定するという。

 卵円孔を閉鎖するカテーテル治療を実施する医療機関は、径カテーテル的心臓短絡疾患治療基準管理委員会が定める施設条件や研修を受講する必要があるが、現在、認定施設は全国50施設以上と急速に増えている。 (新井貴)

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