【ブラックジャックを探せ】化学療法で大腸がん治療“進化” 帝京大学医学部附属病院・下部消化管外科教授、橋口陽二郎さん - zakzak:夕刊フジ公式サイト

記事詳細

化学療法で大腸がん治療“進化” 帝京大学医学部附属病院・下部消化管外科教授、橋口陽二郎さん

 1人の患者に対して、いくつかの専門領域から複合的な治療を行うことを「集学的治療」と呼ぶ。帝京大学医学部附属病院下部消化管外科教授の橋口陽二郎医師は、この集学的治療で大腸がんの治療成績を高める、日本の代表的な消化器外科医である。

 「私が外科医になったばかりの頃は、がん手術と言えば“救命”が最優先で、機能温存は二の次、低侵襲などという考え方は存在しなかった。しかしその後、小切開手術、腹腔鏡手術を経て、大腸がんの領域でもロボット手術が普及した。いまでは機能温存は当たり前だし、低侵襲手術は術後合併症のリスクの少なさで圧倒的に有利。当院では現在、80%以上の症例が腹腔鏡手術かロボット手術で行っています」

 橋口医師が“進化”を実感するもう一つの技術が、化学療法だ。同院では大腸がんの化学療法は外科が担当する。つまり外科の中だけで集学的治療が実現するのだ。

 「手術不能な大きさのがんを、抗がん剤で小さくして手術に持ち込む治療を“コンバージョンセラピー”と呼びます。抗がん剤の進化で、これが奏功するケースが増えているのです。以前なら助からなかった患者さんが、いまは根治を目指せる可能性がある。がん治療のゴールが明らかに変わってきているのです」

 じつは橋口医師、「大腸癌治療ガイドライン」作成委員会の委員長を兼務している。技術と成績で世界をリードする日本の大腸がん治療の手引書の責任者として、外科・内科に関係なく最新技術の検討を重ねる。自身の職場だけでなく、全国の大腸がん治療の舵取りをする立場でもある。それだけに「何でも自分たちの手で」という功名心もない。その患者にとって内視鏡治療が最適だと思えば、躊躇なく内科に紹介する。

 「患者第一」の姿勢を崩すことのない橋口医師。手術と化学療法の二刀流で大腸がんに立ち向かう。(長田昭二)

 ■橋口陽二郎(はしぐち・ようじろう) 帝京大学医学部附属病院下部消化管外科教授。1959年、鹿児島市生まれ。85年、東京大学医学部を卒業し、同大第一外科入局。93年、米・ニューヨーク州立大学留学。96年、埼玉県立がんセンター腹部外科医長を経て99年、防衛医科大学校第一外科助手。その後同講師、准教授を経て2012年から現職。日本外科学会、日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会のそれぞれ指導医・専門医。消化器がん外科治療認定医。日本内視鏡外科学会技術認定医・評議員。医学博士。趣味は音楽鑑賞(クラシックとジャズ)。

関連ニュース

アクセスランキング

×