【医療 新世紀】患者を災害から守るには 避難を効率的にする「受援力」必要 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【医療 新世紀】患者を災害から守るには 避難を効率的にする「受援力」必要

 災害で被災した医療機関で、どうすれば入院患者を守れるのか-。2018年7月、過去最大級の水害に見舞われた岡山県倉敷市の病院では、入院患者全員を丸1日で運び出した。当事者として現場で避難に携わった医師3人の証言から、経過と教訓を探った。

 ▽急を要する

 倉敷市真備町地区の「まび記念病院」(80床)は同月7日、床から3・4メートルの水に襲われ1階がほぼ水没。停電に加え、非常用発電機や外部電源の受け入れ設備も使えなくなった。

 村松友義院長によると、この病院は地域の救急病院で、地区唯一の総合病院。病院には住民200人余も一時身を寄せた。一夜明け、避難住民と歩ける患者は自衛隊がボートで運んだが、車いすが必要な30人近くと、ほぼ寝たきりの約25人がいた。

 昼前、災害医療の支援活動を続ける認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(広島県)の稲葉基高医師らが、法人所有の水陸両用車で同病院に到着した。

 現場の混乱ぶりは一目で分かった。空調も利かず、夜は暗闇になる。高齢患者の7、8人は急を要する。「今夜、もたないかもしれない」(稲葉さん)。即刻避難させたいとの思いが募った。

 ▽地域一体で

 午後、災害派遣医療チーム(DMAT)が到着、避難所など各地に展開した。岡山大チームは橋の上に現場指揮救護所を設営したが、被災者の所在や救出可能なルート、手段などの情報が交錯した。岡山大の飯田淳義医師(現岡山赤十字病院)は「情報をどう集約し、共有するのかが課題として残った」と話す。

 そのころ病院では、病状に応じて避難の優先順位を決め、稲葉さんが法人のヘリコプターを病院屋上に着陸させた。午後9時近く、全員の救出が完了した。

 病院側ではこの水害を教訓に設備を見直したり、事業継続計画(BCP)を改めたりする対策を講じた。村松さんは「支援が要るのは入院患者だけでない。地域住民に関わる医療、介護、福祉関係者が一体になった準備、対策が必要だ」と話す。

 ▽限界を知る

 稲葉さんは、病院側が外部からの多様な支援を受け入れる「受援力」に優れていたと評価した。どんな危機に対してどう助けてもらうかを見極め、支援者と共に危機対応する力のことだ。

 真っ先に到着した稲葉さんらは当時、公的な支援組織ではなかった。それでも「わらにもすがる思いだった」と話す村松さんら同病院側は、稲葉さんをはじめ外部の支援を素早く、効率的に受け入れた結果、患者全員の避難が迅速に進んだ。

 稲葉さんは「自施設にどんな支援組織が来る可能性があるかを知り、日頃からその関係者との連携を強化しておくべきだ」と話した。

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