【ここまで進んだ最新治療】根治性高い脳動脈瘤の「フローダイバーター留置術」 保険適用拡大で再発少ない治療が可能に - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ここまで進んだ最新治療】根治性高い脳動脈瘤の「フローダイバーター留置術」 保険適用拡大で再発少ない治療が可能に

 脳の血管(動脈)の壁がふくらんで風船のようなコブができる「脳動脈瘤(りゅう)」。コブが脳や神経を圧迫すると体の一部に異常をきたすことがあり、破裂すれば命に関わる「くも膜下出血」を引き起こす。

 主な治療法は、頭を切り開いて脳動脈瘤の根元をクリップで挟む「開頭術(クリッピング術)」と、脚の付け根からカテーテル(細い管)を挿入して血管の中から治療する「血管内治療(カテーテル治療)」がある。

 血管内治療は、コブの中に軟らかくて細い金属の糸を詰める「コイル塞栓術」が行われてきたが、2015年に一部の脳動脈瘤に対して「フローダイバーター留置術」という新しい術式も保険適用になった。どのようにして脳動脈瘤の破裂を防ぐのか。虎の門病院・脳神経血管内治療科の鶴田和太郎部長が説明する。

 「『フローダイバーター』とは、非常に網目の細かい特殊構造のステント(網目状の金属製の筒)で、これをカテーテルで脳動脈瘤のある部分に留置します。するとコブに入る血流量が減り、コブの中の血液が血栓化(固まる)します。さらに、ステントが徐々に血管の内皮に覆われるので、動脈瘤への血流が完全に遮断され、破裂しなくなるのです」

 フローダイバーターが適応となるのは、当初は内頚(ないけい)動脈にできた大型(10ミリ以上)の動脈瘤、または巨大(25ミリ以上)かつコブの入口が4ミリ以上(ワイドネック)の脳動脈瘤に限られていた。それは、これらの脳動脈瘤は通常のクリッピング術やコイル塞栓術では治療が難しかったからだ。根治するにはバイパス手術を併用しながら血管を閉塞するなど、大がかりな外科手術が必要だった。

 それが安全性や有効性が十分に認められたことから、2020年9月には内頚動脈の近位(手前部分)と椎骨動脈にできた5ミリ以上のワイドネックの動脈瘤に対しても治療適応が拡大されている。

 「これまで大型や巨大動脈瘤の治療には大がかりな外科手術が必要であり、破裂率が高いにも関わらず経過観察をしているケースもありました。それが根治性が高く、再発が少ない低侵襲のカテーテル治療が可能になったのです」

 フローダイバーターを使った治療の動脈瘤の閉塞率は、治療後半年で75%、1年後で85%、5年後で95%になる。ただし、クリッピング術やコイル閉塞術と比べたデメリットは、血栓予防のために治療後2~3年は血液をサラサラにする抗血小板薬を服用する必要があることだという。

 フローダイバーター治療は医師の高い技術力が求められるので、現在、実施できる認定された医療機関は全国約70施設に限られる。 (新井貴)

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