【コロナでセクシャル・ライフは変わったのか】不適切なマスターベーションで「射精障害」に 不妊につながるため、予防啓発の必要あり - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【コロナでセクシャル・ライフは変わったのか】不適切なマスターベーションで「射精障害」に 不妊につながるため、予防啓発の必要あり

 厚生労働省が2015年に男性7000人を調査したデータによると、不妊男性の8割は造精機能障害であった。簡単に言うと精子が少ない、運動率が低い、奇形が多いなど。数%は閉塞性精路障害で、パイプカットをしている人も含まれる。13・5%は性機能障害で、中でも注目なのは「膣内射精障害」。マスターベーションでは射精はできるが、セックス時に女性の膣内に限っては射精ができない人が急増しているのだ。

 外来で男性不妊患者と長年向き合っている泌尿器科専門医で、生殖医療専門医でもある小堀善晴氏は、「不適切なマスターベーションが原因です」と指摘する。

 この連載でコロナ禍で男性のマスターベーション回数や時間が増えたことを紹介したが、子供がほしい男性ならやり方を間違えると射精障害になりかねない。

 「不適切なマスターベーション」とは何か。手を使わない方法のことを想像してほしい。うつぶせになって床や布団にペニスを押しつけたり、こすりつけたりする「床オナ」。足を思い切り伸ばしてオナニーをする「足ピン」など。手を使う場合でもギュっと握りすぎる「強グリップ」は要注意。ほかには、妻以外では射精できるといった心因性の射精障害や、腰の動かし方がわからないなどがある。外来では個別に話を聞き治療方針を決めていくという。

 「不適切なマスターベーションが膣内射精障害の原因の5割。布団や床にこする“床オナ”は、若い人に多く10%にもなります。射精障害はまだあまり知られていませんが不妊につながるため、予防啓発の必要があります」と小堀氏。射精のコツをつかむリハビリテーションには、教育と訓練の効果が高いそうだ。

 コロナでの大きな恩恵はオンライン診療の普及。たとえば、男性の精液検査ではスマートフォンで簡単にできるものがある。不妊治療に関して言えば、これまでは男性の8割以上が産婦人科で検査していた。男性にとって居心地が良いとはいえず、しかも女性側の不妊検査が終わってから男性は精液検査を受ける。その上、結果は女性経由で知ることがほとんどだった。

 「男性不妊のスクリーニングは、既にスマホで精液を簡単に見られるキットが1000円程度であります。動画を送ることにより、オンラインである程度の精液検査が可能となります。性感染症についても、郵送検査で陽性の場合にオンラインで診察しています。必要な薬を処方し、服用後に治療効果判定を行います」

 小堀氏はさらに診察の必要性を続ける。

 「もちろん神経が切れたなどの外科的手術が必要な治療は無理ですが、射精障害の原因がどの段階にあるかを理解できれば可能な治療を行います。私の本を読んで『射精ができない』と遠方からオンライン診療を受ける高校生もいます。セックスをするまでの一連の流れ、赤ちゃんを作る目的などをお伝えすることもあります」

 コロナ禍で精子の質を落とさないためにできることは?

 「生活習慣が精子の質を落とします。良く寝る。運動する。健康的な食生活を送る。精神的にストレスをできるだけためないようにしてください」

(取材・熊本美加)

 ■小堀善友(こぼり・よしとも) 泌尿器科専門医。プライベートケアクリニック東京・東京院院長。生殖医療専門医。セックス・セラピスト(日本性科学会)。1975年、埼玉県生まれ。金沢大学医学部卒。専門は男性性機能障害、男性不妊症、性感染症。著書『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』など。

 厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業「我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究(平成27年度)」

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