【ここまで進んだ最新治療】膝下の神経刺激で歩行のリハビリ 導入が早いほどマヒや歩き方を改善、歩行補助装置「ウォークエイド」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【ここまで進んだ最新治療】膝下の神経刺激で歩行のリハビリ 導入が早いほどマヒや歩き方を改善、歩行補助装置「ウォークエイド」

 昨年4月から脳卒中や脊髄障害などによる運動機能障害に対し、「運動量増加機器」を使った上肢・下肢のリハビリテーション(以下、リハビリ)が保険適用になった。運動量増加機器とは、関節の屈曲・伸展を補助する医療機器のことで、「訓練支援ロボット」や筋肉の収縮を補助する「歩行神経筋電気刺激装置」が該当する。

 膝下に機器本体を装着して歩行を補助する電気刺激装置は、国内では現在、3機種が承認されている。中でも代表的なのが「(商品名)ウォークエイド」という機器。どんな仕組みで歩行を補助するのか。リハビリ専門医で医療用補助ロボットに詳しい了徳寺大学・医学教育センター(千葉県浦安市)の松元秀次教授が説明する。

 「脳卒中の患者さんの多くは、マヒした足のつま先が垂れてしまう『下垂足(かすいそく)』が起こります。ウォークエイドは本体に電極が付いていて、膝下前面にある腓骨(ひこつ)神経を電気刺激することで足関節の背屈(つま先を上げる)を補助します。本体には傾斜センサーが内蔵されていて、電気刺激は足を振り出すときに合わせて流れます」

 本体とは別に、ブルートゥースでつながれたハンドスイッチと専用ソフトウェアがあり、最初に使うときはリハビリスタッフが患者の歩行に合わせてハンドスイッチから電気信号を送る。歩行の際の下腿傾斜角度などの情報がパソコンで解析され本体へ送信し、2回目以降は個々の患者に合わせて本体がサポートする仕組みになっている。

 電気刺激装置を使ったリハビリは、マヒと歩き方を改善させる効果があるとして、「脳卒中治療ガイドライン2015(追補2019)」ではグレードBの治療法として推奨されている。

 「電気刺激装置は、車椅子に座れるくらいになったらできるだけ早めに導入することが肝心です。それはマヒが早期ほど改善することが分かっているからです。だいたい発症から3カ月で症状の8割が改善し、残りの3~6カ月で症状の1~2割が改善します。早ければ早いほど改善の伸びしろが大きく、歩行自立度が上がり、歩行装具が不要になる可能性が期待できます」

 実際のウォークエイドを使ったリハビリでは、最初は15~20分くらいの歩行訓練から始め、午前と午後の1日2回行う。慣れてきたら3日間隔くらいで、少しずつ歩行訓練の時間を延ばしていくという。副作用としては、筋肉の疲労には注意する必要があるという。

 電気刺激装置が適応にならない人もいる。心臓ペースメーカーなどの電気機器を体内に埋め込んでいる患者、てんかん患者、血栓症が足にある患者は禁忌となる。また、リハビリに「低周波治療器」を使っている医療施設もあるが、歩行神経筋電気刺激装置とは別物なので混同しないでもらいたいという。(新井貴)

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