【産業医・シンコ先生に聞く テレワーク2年目の危機】管理職は社員のメンタル不調に注意せよ うつ病の発症…最悪の場合、自殺に追い込まれるケースも - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【産業医・シンコ先生に聞く テレワーク2年目の危機】管理職は社員のメンタル不調に注意せよ うつ病の発症…最悪の場合、自殺に追い込まれるケースも

 東京五輪開催がテレワークにも大きな影響を及ぼしそうだ。政府は、東京五輪・パラリンピック大会期間を含む7月19日から9月5日まで、「テレワーク・デイズ2021」を実施すると発表した。3000団体の参加を目標とするが、この中にあなたの職場が含まれるかもしれない。

 「テレワークが長期化して喜ぶ人は、自立型で仕事と生活リズムをうまく作れるタイプです。反対に落ち込む人は、依存型で自宅にいるとだらだらしてメンタル不調を起こすタイプです」

 産業医として外資系企業を中心に従業員のメンタル相談に乗っているシンコ先生はこのように指摘する。

 都内の有名企業に勤める狩野智子さん(仮名)は独身の27歳。昨年4月にテレワークが導入されたときは、「通勤で満員電車に乗らなくてよくなった。通勤時間も浮いた。上司と顔を突き合わせて仕事をしなくてよかった」と、いいことずくめとテレワークを喜んでいた。週に1、2回、出社の日があるが、テレワークが長期化してくると、「ふと寂しくなる」ことがあるという。

 「家では仕事しかない毎日。1日中、ひとりでPCに向かい、仕事が一段落ついたときにはもう夕暮れ。こんな日が続いているとふと寂しくなるのです。気心の知れた同期との会話は随分としていない。週1、2回の出社日に会社に行ってもオフィスの人はまばら。出社しても、他のテレワークの人とつなげるため、結局、会議室でオンライン会議に入ることが多く、テレワークの延長のような気分になっています」(狩野さん)

 コロナ禍の長期化は、テレワークによるメンタル不調をもたらし、その1人の狩野さんは「仕事に行き詰まったときに、前より1人で落ち込むことが多くなってきました」と声を落とす。

 狩野さんはもともと、仕事をテキパキこなすタイプだったが、シンコ先生は「仕事と生活に境界線を引けず、一日中仕事している気がします。仕事とそれ以外というオンオフがなくなり、リフレッシュできないケース」とし、次のように話す。

 「ウィズコロナ時代のテレワークを引き金とした、メンタルのトラブルです。テレワークは、同僚も上司も隣にいないため 仕事に集中できていいとのメリットもありますが、仕事をこなすだけで孤独に陥り、精神的な疲れやストレスがたまりやすくなります」

 そして、管理職にある人は、こうした女性たちの“異変”に早く気づくべきだと言う。もし、メンタル不調からうつ病につながると本人にも会社にとっても大きな打撃となる。最悪は自殺に追い込まれるケースもあるという。

 警察庁によると、5月に自殺した人は全国で1745人を記録、昨年同時期に比べて154人増えた。全体では11カ月連続の増加で、特に女性は21%の増となった。企業の対策として「まず、狩野さんのようにテレワークの影響が出ている女性社員を見つけ出し、早めにケアできる態勢を作ることが大切です。また、既婚者では仕事だけでなく、家庭、子育てなどさまざまな場面で悩む人が多く、彼女たちのケアも喫緊の課題です」

 シンコ先生はそう訴える。 (取材・佐々木正志郎)

 ■矢島新子(やじま・しんこ) 産業医。山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表。パリ第一大学(ソルボンヌ)大学院、東京医科歯科大学大学院博士課程修了。著書に『ハイスペック女子の憂鬱』ほか。

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