【食と健康 ホントの話】スケソウダラが「サルコペニア予防」に有効 摂取で特別な運動をしなくても筋肉増大することが確認 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【食と健康 ホントの話】スケソウダラが「サルコペニア予防」に有効 摂取で特別な運動をしなくても筋肉増大することが確認

 筋力の維持はどの世代でも不可欠だが、とくに高齢者の寝たきりを防ぐためには必須。積極的にタンパク質を摂取しつつ運動をして、筋肉を維持してほしい。とはいえ、腰痛や膝痛などがあったり、フレイル(寝たきり一歩手前の状態)であったりするなど、積極的に運動しにくい状態の人がたくさんいる。

 そこでいくつかの研究グループでは、スケソウダラの速筋タンパクに注目し、運動ができにくい高齢者の筋肉量を維持できるかを探っている。

 先日開催された第63回日本老年医学会学術集会で、徳島大学先端酵素学研究所、糖尿病臨床・研究開発センターの森博康助教らの注目すべき発表があったので紹介したい。

 まずは、スケソウダラの速筋タンパクの“質”のよさについて前回のおさらいを。ヒトでの臨床試験で、体内での正味タンパク質利用率(NPU。摂取したタンパク質のどれだけの割合が体のタンパク質として保持されたかを表す)は、鶏卵、牛乳、畜肉のタンパク質を抜いて、スケソウダラの速筋タンパクが最も高いことが明らかとなっている。

 またラットを対象とした試験でも、スケソウダラの速筋タンパクの摂取が、良質とされる乳清(ホエイ)や大豆、鶏卵タンパク質と比べて、筋肉が肥大することが確認されている。

 筋肉増大効果については、次のような研究報告がある。スケソウダラの速筋タンパクをラットに1週間食べさせてふくらはぎの筋繊維(速筋部分)の太さを測定した結果、コントロール対照群と比較して1・4倍高いことが明らかになった。

 またヒトを対象とした臨床試験では、健常高齢者にレジスタンストレーニング(筋トレ)を行ってもらい、スケトウダラ速筋タンパクを摂取すると、3週間後に、カゼイン(牛乳に含まれるタンパク質の1種)と比べて、椅子の立ち座りテストの回数が早くなることが分かっている。

 ここまで、スケソウダラの速筋タンパクを摂取すると、運動をすれば筋肉増大効果は増すだけでなく、特別な運動をしなくても増大することが確認されていることを説明した。高齢者にこそ、その効果を発揮してほしいところだが、本当に効果は現れるのだろうか。

 これまでにも、運動介入をともなわない、高齢者女性を対象とした単群前後比較試験(プラセボ群を設定せず、食べる前と後での比較をする試験)では、12週間後の除脂肪体重が有意に増加している。しかし、それがほんとうにスケソウダラ速筋タンパクの効果なのかは明らかになっていなかった。

 そこで森助教らは、65歳以上の健常高齢女性に対して、スケソウダラの速筋タンパク4・5グラムを配合した食品を46人に、プラセボ群としてホエイタンパク質4・5グラムを配合した食品を46人に、24週間食べてもらった。結果、速筋タンパクを食べることで12週目と24週目の筋肉量、及び筋力(膝伸展筋力)はプラセボ群と比較して増加した。  「習慣的なスケソウダラの速筋タンパクの摂取は、高齢者のサルコペニア予防を目的とした介入方法の一助になることが示されました」(森助教)

 スケソウダラの身は、ほとんどが速筋(短時間で大きな力を発揮する筋肉)であり、そこに含まれるタンパク質は速筋タンパクだ。この速筋タンパクを摂取すると、ヒトの速筋も増える。乾燥や加熱をしても効果は変わらないので、すり身にして加工されたちくわやカニカマ等を常備し、マメに摂取したい。(医療ジャーナリスト  石井悦子)

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