【今から始めよう!70代まで働く健康術】糖尿病の高齢者にリスク 高血糖よりも注意したい認知症や生活動作の衰え - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【今から始めよう!70代まで働く健康術】糖尿病の高齢者にリスク 高血糖よりも注意したい認知症や生活動作の衰え

 高血糖状態の糖尿病は、心筋梗塞や脳卒中、昨今では新型コロナの重症化リスクも高くなり、そうでない人と比べて死亡率が上がる。食生活の見直しや、適正な薬の使用で高血糖は改善することが望ましい。だが、高齢者の場合は、高血糖より生活機能(認知機能やADL=日常生活動作)の悪化の方が、より死亡リスクになる。

 血糖コントロール目標は、患者の生活機能によって変えることが重要。それを裏付ける新たなエビデンスが、今年5月、東京都健康長寿医療センターの糖尿病・代謝・内分泌内科の荒木厚副院長らによって明らかにされた。

 「私たちは、高齢者糖尿病患者さんの6年間の追跡調査『J-EDIT』の結果も踏まえて、2016年に日本糖尿病学会と日本老年医学界の合同委員会により『高齢者糖尿病ガイドライン2017』を作成しました。その血糖値コントロール目標について検証を行い、死亡リスク予想が、生活機能に基づくカテゴリー分類通りだったことを確かめたのです」(荒木副院長)

 一般に過去1~2カ月の血糖値の平均値を示すHbA1c(ヘモグロビンA1c)で6・5%以上は、糖尿病と診断され、6~6・4%は、糖尿病予備軍といわれる。

 心筋梗塞や脳梗塞の発症を減らすには、若くて身体状態が良好で低血糖がない場合には、可能な限り6%まで下げるのが望ましいとの考え方もある。だが、高齢者の糖尿病の場合、身体状態が良好でも7%未満、身体状態や使用している薬によっては7・5%未満、身体状態が悪ければ8・5%未満と、血糖コントロール目標が若い人よりもゆるやかになっている。それを左右するのが、別項の3つのカテゴリーだ。このカテゴリーの段階がII、IIIと進むにつれて、死亡のリスクが約2倍、約3倍と高くなっていた。

 「高齢者糖尿病の機能や生命予後を決めるのは、栄養と身体活動です。高齢者糖尿病は低栄養や運動不足によって、認知機能やADLが低下し、フレイル(虚弱)に陥りやすく死亡率が上がるのです。この状態で血糖値コントロールを厳格に行うと、重症の低血糖なども起こり、さらに機能が悪化し死亡率が上ります」

 認知機能やADLの低下は、高齢になればなるほど起こりえる。糖尿病は認知症との関係が深く、さらには、神経障害や網膜症などもADLに悪影響を及ぼす。結果として、「外出しなくなった」「薬を飲み忘れる」「移動に助けがいる」といった生活機能の障害が起こる。それが生命の危機につながる。

 「いかに認知機能とADLを維持するか。それが高齢糖尿病患者さんにとって重要といえるのです。このことを多くの方に知っていただくことで、若い頃からの予防にも役立てていただきたいと思います」

 次週は、カテゴリーIIからIへの脱却を紹介する。 (安達純子)

 

 ■高齢者糖尿病血糖コントロール目標の3つのカテゴリー

 【カテゴリーI】

 (1)認知機能正常、かつ、(2)ADL(日常的生活動作)が自立している

 【カテゴリーII】

 (1)軽度認知機能障害~軽度認知症、または、(2)手段的ADL(買い物や食事の準備、服薬管理など)の低下、基本的ADL(着衣、移動、入浴、トイレの使用など)は自立

 【カテゴリーIII】

 (1)中等度以上の認知症、または、(2)基本的ADLの低下、(3)多くの併存疾患や機能障害

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