【医療 新世紀】コロナで注目「mRNA薬」 がん治療で治験中、幅広い病気に応用の兆し - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【医療 新世紀】コロナで注目「mRNA薬」 がん治療で治験中、幅広い病気に応用の兆し

 新型コロナウイルスワクチンに使われたことからよく聞くようになった「メッセンジャーRNA(mRNA)」は遺伝物質の一種だ。これを薬として直接体内に入れる研究が実用化目前に来ていたところへコロナの世界的大流行が起き、通常10年はかかるワクチン開発が1年未満という驚くべき短期間で実現した。ワクチンで高い有効性が示されたことで、今後幅広い病気の治療や予防に応用される可能性がある。

 ▽ベンチャー

 日本でも承認された米ファイザーとドイツ・ビオンテックが共同開発したワクチンと、米モデルナのワクチンの主成分はいずれも人工合成したmRNAだ。

 mRNA薬の人への投与はコロナが初めてではない。ビオンテックやモデルナなどのベンチャー企業は、別の病気の予防や治療を目的にmRNA薬の安全性と有効性を確かめる臨床試験(治験)を進めていた。

 インフルエンザやジカ熱などに対するワクチンのほか、皮膚がん、乳がんなどの治療を目指していた。

 ▽課題を克服

 mRNAは生命活動に必要なタンパク質を合成するため、設計図であるオリジナルの遺伝情報を部分的にコピーし、細胞内のタンパク質合成の現場まで運ぶ。

 コロナワクチンの場合は、ウイルスにある突起状のタンパク質の遺伝情報を注射で人の体内に入ると、細胞の働きでウイルスの突起状のタンパク質が作られる。

 人間の免疫がその特徴を記憶し、本物のウイルスが入ってきた際に素早く排除できるようになる。

 ワクチンとして体内に入れても、できるのはウイルスの“部品”だけなので感染して病気にならない。作り替えも簡単なので新興感染症の脅威にも対応しやすい。

 mRNAは不安定で扱いにくいこと、強い免疫反応を引き起こすので副反応が心配-などがあったが、壊れないように脂質の膜に包んで投与する技術や過剰な免疫反応を防ぐような改良法が開発された。

 この分野に詳しい東京医科歯科大の位高啓史(いたか・けいじ)教授は遺伝物質を扱うことが倫理的に問題ないかについて、「mRNAには遺伝子組み換えを起こすリスクがなく、体内に長くは残らない」と話す。

 ▽2年後

 治療面では、がん以外にもさまざまな病気がターゲットになっている。海外ではモデルナと英製薬大手アストラゼネカが虚血性心疾患の薬として既に治験を開始した。

 東京医科歯科大も、加齢などの理由で軟骨がすり減って膝が痛んだり、寝たきりの原因になったりする変形性関節症治療の研究を進めている。

 軟骨形成を促進させるタンパク質を作るためのmRNAを関節に注射で投与し、軟骨を丈夫にしようという計画だ。位高教授は「2023年の治験入りを目指している」と意気込んでいる。

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