【食と健康 ホントの話】ビフィズス菌を意識した腸活で夏を乗りきる - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【食と健康 ホントの話】ビフィズス菌を意識した腸活で夏を乗りきる

 人気の「腸活」。便秘の改善を目的とする人が多いが、腸内環境を整えるため、軟便・下痢にも当然効果がある。とくに夏は、冷たい飲み物や冷房、熱中症予防による水分の摂りすぎで、内臓の冷えからお腹がゆるくなる人がかなりいる。その対策として、善玉菌を増やす腸活、とくにビフィズス菌を増やすことを意識することが大切だと、多くの研究者が説く。理由を消化器専門医で帝京平成大学健康メディカル学部の松井輝明教授に聞いた。

 「代表的な善玉細菌として、乳酸菌とビフィズス菌が知られています。乳酸菌はおもに小腸に、ビフィズス菌はおもに大腸に棲んでいます。乳酸菌は通性嫌気性菌で、好気的(酸素がある)環境下でも嫌気的(酸素がない)環境下でも発育可能なため、酸素が比較的ある小腸に棲んでいます。それに対して、ビフィズス菌は偏性嫌気性菌で、嫌気的環境下でのみ発育が可能なので、おもに大腸で発育します」

 腸内細菌は小腸にも棲んでいるが、多くは大腸に存在する。そのため、大腸での善玉菌の働きがより重要になる。とくに便秘や下痢などの消化器症状に大きく影響する。

 「大腸にはさまざまな善玉菌が存在します。代表的な善玉菌として乳酸菌とビフィズス菌がありますが、その割合はビフィズス菌が約99・9%なのに対して、乳酸菌は約0・01%です。善玉菌はエサとなる食物繊維を食べて、発酵産物を産生します。乳酸菌は乳酸のみ産生し、ビフィズス菌は乳酸と短鎖脂肪酸である酢酸(食用酢と同じ成分)を産生します。両菌とも腸内の環境を酸性側にするため、体に有害な悪玉菌の発育を抑える作用がありますが、ビフィズス菌は乳酸と酪酸を産生するので、我々の健康により寄与しています」

 悪玉菌は酸性の環境では増殖しにくくなり、毒性物質も産生できなくなる。加えて、ビフィズス菌が産生した短鎖脂肪酸は、「腸を動かすエネルギーになるとともに、腸上皮細胞から腸の粘膜を守るムチンの産生を助ける働きをします」。

 短鎖脂肪酸とは、ビフィズス菌が産生する酢酸のほか、酪酸、プロピオン酸などがある。これらは総じて、腸の働きを調える作用がある。つまり、大腸内に存在するビフィズス菌を増やすことが消化器の不調をなくす近道なのだ。

 夏の消化器の不調といえば、軟便や下痢だろう。冷たい飲み物は控えても、熱中症予防のためには水分は欠かせない。お腹がゆるめの人にとっては、切実な問題だ。

 松井教授は、夏の熱中症予防のため、水分は次のような必要十分量摂る必要があるという。(食事以外の)飲料として摂取すべき水分量は、通常1日あたり1・2リットルが目安。しかし夏の暑い時期は1・8リットルが目安となる。スポーツなどで大量の発汗がある場合は、水だけでなく、塩分濃度が0・1~0・2%程度のスポーツ飲料などの摂取がすすめられる。

 「しかしながら、短時間に大量の水分を摂取すると、小腸での吸収能力を超えて、大腸の処理能力以上の水分が流れ込んでしまい、下痢になることがあります。反対に、水分量が必要十分量摂れないと便秘になります。汗と尿の回数を目安にして、水分量を調節する必要があります」

 症状の重いときは医薬品を服用してほしいが、予防的にビフィズス菌を摂る場合は、ビフィズス菌入りヨーグルトなら1日100~150グラムが目安。「外から摂取した菌は、我々の腸に常在する腸内細菌と相性が良くないと棲み着くことはできないので、毎日続けて摂取することが必要です」

 (医療ジャーナリスト 石井悦子)

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