【ここまで進んだ最新治療】鎖骨下に装置を移植し、閉塞性睡眠時無呼吸症を治療する舌下神経電気刺激「HNS法」 今年6月から保険適用 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

記事詳細

【ここまで進んだ最新治療】鎖骨下に装置を移植し、閉塞性睡眠時無呼吸症を治療する舌下神経電気刺激「HNS法」 今年6月から保険適用

 睡眠中に気道がふさがり、無呼吸や低呼吸を繰り返す「閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)」。治療は一般的に、軽症なら下顎を前方に引き出すことで気道を広げる「歯科装具(マウスピース)」、中等症や重症では鼻にマスクを着けて空気を送り気道を広げる「CPAP療法」が行われる。

 また、のどちんこの一部を切除してのどの空間を広げる「手術」が行われる場合もある。そして、今年6月に「舌下神経電気刺激療法(HNS)」という新しい外科治療が保険適用になった。ただし、実施する医師は所定の研修を受ける必要があるので、いま日本耳鼻咽喉科学会を中心にその準備が進められている。

 HNSは、どんな治療法なのか。睡眠呼吸障害を専門とする獨協医科大学病院/耳鼻咽喉・頭頸部外科の中島逸男准教授が説明する。

 「HNSは、『インスパイア』という名称の小さな電気刺激装置を鎖骨下に植込んで、装置本体からのびている刺激リードによって顎下にある舌下神経に微弱な電気刺激を与えます。すると、のどに落ち込んでいる舌が収縮して前に出ることで、のどの空間が広がるという仕組みです」

 対象となるのは、CPAP療法に適さない患者。CPAPは就寝時に特殊なマスクを着用するので、不快感やわずらわしさから約3割の患者が続けることが困難とされる。

 また、CPAP療法と同じで睡眠1時間当たりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数(AHI=無呼吸低呼吸指数)が20以上であること、18歳以上、BMI(体格指数)30未満などが条件になる。

 「植込み手術は全身麻酔で、切開部は刺激リードを通す顎下を約3~4センチ、装置本体を植込む鎖骨下を4~5センチ、センサーリードを通す側胸部を約3センチの3カ所です。センサーリードが胸の膨らみで無呼吸を感知すると電気刺激が送られるのです。手術時間は3~4時間、入院期間は前日入院で5泊6日くらいになると思われます」

 装置の作動を開始できるのは、手術から1カ月後。外部コントローラーを使って、患者自身が就寝時にスイッチをONにする。副反応には、舌が歯に当たってできる擦過傷(さっかしょう)や電気刺激による違和感・不快感があげられるが、刺激量をコントローラーで調節することで対応できるという。担当医も読み取り機で作動データを確認でき、その後の外来でのケアに役立てる。

 「効果は、海外の報告では平均でAHI29・3が6・2(正常5未満)に減少するとされています。この研究は5年間経過を追っているので、少なくても5年は効果の持続が確認されています」

 ただし、装置のバッテリーの寿命は約10年で、切れたら本体ごと入れ替える必要がある。 (新井貴)

関連ニュース

アクセスランキング

×