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哲学者の國分功一郎さん「スナックには“ダメ人間になれる”心地よさがある」 (1/2ページ)

★ゲスト 高崎経済大学准教授・國分功一郎(下)

 「暇と退屈」は、自分が最も正気でいられ、自分と向き合える時間だと國分氏は言う。ボーっとしている時間は、それほど貴重なのだとも。

 島田 最近、永井荷風を読み直して思ったのが、荷風は年をとって暇と退屈を持て余したときの生き方を示したパイオニアだということ。独居老人でしたが、家はただ寝るためだけの場所で、普段は午前中から浅草や銀座に出かけて雑踏へ身を置いていた。街を広い家のように使い、暇と退屈を味わい尽くしていたんです。

 國分 街を家のようにというと、ブルガリアのソフィアなどもそうで、向こうの人と街を歩いていると、突然、知り合いの家に寄っていこうと言って、お茶か何かをごちそうになるんです。街の中に、どこでもきちんと居場所があるんですよ。

 島田 今の日本だと、用もなく歩き回れる空間、ふっとため息をつける場所、籠れる場所が必要だと気づいたときには、もう街はすっかり変わっているんですよね。

 國分 私も若い頃はよくわからなかったけれど、今になってその大切さを思うようになりました。

 島田 溝口健二の映画に出てくる昔の祇園のろくでなしの男たちも、上手に暇と退屈を楽しんでいました。

 國分 ろくでなしでいられたんでしょうね、祇園が。今はスナックですか。私は素人なので、温泉旅館にあるスナックぐらいしか知りませんが。

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