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ユネスコ、「世界の記憶」包括的見直し 政治利用回避へ4月に行動計画

 【パリ=三井美奈】国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「世界の記憶(記憶遺産)」の包括的見直しに向け、「行動計画」を策定することになった。2015年に中国申請の「南京大虐殺文書」が登録された後、ユネスコが政争の場と化しているのを正すためで、ユネスコ筋によると、今年4月、ユネスコ執行委員会に提出される予定。「世界の記憶」がようやく正常化に向けて動き出す。

 新たな行動計画は、世界の記憶の登録審査プロセスをより透明化し、加盟国間の対立を防ぐ仕組みへの道筋を示すもの。世界の記憶として登録された資料のアクセス促進も課題になる。

 「南京大虐殺文書」は資料の信憑(しんぴょう)性や事実認識で疑義が示されたが、非公開審査で登録が決まった。日本政府が登録資料の開示と検証を求めたのに対し、中国側は応じていない。

 行動計画はこうした対立を招く現行制度の改善を視野に入れる。執行委員会(58カ国で構成)はユネスコの運営指針を決める機関で昨年10月、世界の記憶で「政治的緊張の回避」をユネスコ事務局に要求し、改革を求めていた。今年4月の執行委員会ではユネスコ韓国政府代表部の李炳鉉(イビョンヒョン)大使が議長を務め、日本は6つの副議長国の一つ。方針が固まるまで、ユネスコは新規申請を受け付けない。

 世界の記憶は、関係国間で認識が異なる事案が徹底した事実調査や現地視察もなく採用されることがあり、ユネスコが一方的な歴史解釈にお墨付きを与えるとの指摘があった。昨年は日中韓の民間団体などが申請した慰安婦関係資料をめぐり、日本が政治利用になると懸念を表明。結局、審査延期が決まった。

 世界の記憶では昨年10月、係争案件の審査では関係者の対話の場を設ける新制度を2019年に導入することが決まったが、専門家が事実上、登録を決める仕組みは変わらず、「世界遺産をモデルに加盟国が関与する制度にすべきだ」という声は強い。

 ユネスコでは昨年11月、中国寄りと指摘されたボコバ前事務局長(ブルガリア出身)の後任として、アズレ事務局長(フランス出身)が就任。アズレ氏は「ユネスコの信頼回復」を掲げて改革意欲を示している。ユネスコの政治利用については昨年、米国とイスラエルが「反イスラエル偏向」を理由にユネスコ脱退を表明しており、国際的にも改革圧力が強まっている。

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