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正恩氏の妹、空路で訪韓 唯一正恩氏に直言可能「男なら後継者になっていた」

 【平昌=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏や金永南最高人民会議常任委員長ら高官代表団が9日、専用機で空路、韓国入りし、平昌五輪の開会式に出席した。10日には、文在寅大統領と昼食会をともにする。金日成(イルソン)主席の直系親族の訪韓は、与正氏が初めて。

 文政権は「首脳級」としてもてなす方針だが、南北対話を最優先する中、実質、最重要の来賓として接することになりそうだ。

 代表団の一人、崔輝(チェフィ)国家体育指導委員長は、国連制裁で渡航が禁じられている。韓国の要請で国連側は対象からの一時除外を決めた。与正氏も米国の制裁対象だが、文政権が米政府に理解を求めるなど、制裁をなし崩しにするような「特例」扱いが続いている。

 米中のトップがそろって平昌五輪開会式の出席を見合わせる中、安倍晋三首相が韓国の最重要の賓客となるはずだった。だが、直前に北朝鮮が金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏の派遣を表明すると、韓国の関心は与正氏に集中。来賓の“主役”に躍り出た。

 専用機から降り立った一行を韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相ら高官が手厚く出迎えた。開会式で与正氏は、文在寅大統領夫妻のすぐ後ろに座り、文氏と笑顔で握手した。韓国が最大級の歓待を示すのは、正恩氏への影響力の大きさにある。

 「正恩氏に何でも言いたいことを言えるのは、与正氏だけだ」と北朝鮮消息筋は指摘。北朝鮮メディアは、式典などで正恩氏をかいがいしく補佐する与正氏の様子を何度も映し出しており、平壌での8日の軍事パレードでも、ひな壇の柱の陰から兄の演説を見守る姿が捉えられていた。

 与正氏は、正恩氏と同じ在日朝鮮人出身の高英姫(コ・ヨンヒ)氏を母に持ち、金正日(ジョンイル)総書記が最も溺愛したと伝えられる。金総書記は外遊の際、ロシア高官に正恩、与正兄妹について「政治に関心が強い」と話しており、「男なら後継者になっていた」と評されるほどだ。現在は、党宣伝扇動部第1副部長として政権の宣伝戦略を実質的に取り仕切っているとされる。

 韓国には、正恩氏との近さから訪韓で見聞きしたことを包み隠さず兄に伝えてくれるとの期待がある。「南北首脳会談への布石だ」との見方も出ている。文氏は「南北対話を北の核問題解決につなげる」と意欲を示す。ただ、与正氏の最大の職責は芸術団公演などを通じた宣伝攻勢にあるとみられ、今回の派遣は「非核化交渉は受け付けない」とのメッセージとも読み取れる。

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