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文氏おだてりゃ“従北一途” 韓国、五輪後の激痛… 失業者増大、左右の激突へ

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の本音が「韓国はどうなってもいいから、北朝鮮のために尽くしたい」といったあたりにあることを表出させて閉幕した。

 これにより、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権と、文グループとの心理的距離感はがぜん接近した。が同時に、韓国内では与党支持者と保守派との溝がさらに拡大した。

 そうした中で、米GMの子会社である韓国GMの工場閉鎖、錦湖(クムホ)タイヤの破綻が迫っている。パラリンピックの閉幕(3月18日)まで軍事事態は起こらないとしても、五輪後の韓国が激痛に見舞われることは避けられない。

 「豚もおだてりゃ木に登る」どころか、「空を飛ぶ」と言った方がいいのではないかと思えてくる。お世辞にめっぽう弱い韓国の国民性のことだ。五輪期間に発せられたお世辞のうち、超弩級(ちょうどきゅう)のそれは、正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏が、文氏にささやいた「統一の扉を開ける主役になってほしい」の一言ではなかったろうか。

 韓国の政権は、保守派が「哨戒艦『天安(チョナン)』撃沈事件の主犯」と呼ぶ金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党中央委員会副委員長兼統一戦線部長を五輪閉会式に招き入れた。そして、文氏が“密談”した。一国の元首の会談場所を「平昌の某所」とするだけで公表しないのだから、まさに密談だ。

 実際に何が話し合われたかは分からないが、開会式レセプションの時から韓国の政権が画策してきたのは、「北米(ポンミ)交渉」(=米朝交渉を韓国では、こう呼ぶ)の糸口の実現だった。その流れに沿った話があったのだろう。

 しかし、米朝交渉の実現とは、「対北の直接の交渉相手としての韓国」を自己否定することにつながる。わが身を捨てても、愛する北朝鮮のために尽くしたい-まさにマゾヒズムを思わすような「従北」だ。与正氏の一言で、文グループは空に舞い上がったのかもしれない。

 とはいえ、米国の対北姿勢は極めて硬い。まして朝鮮労働党機関紙が「わが共和国が核を放棄することを望むのは海の水が干上がるのを待つよりもさらに愚かなこと」などと述べている中では、米朝交渉の展望はない。だから、南北の政権が取れる方途は「南北会談の実現性」を匂わし続け、時間稼ぎをすることだろう。

 その一方、国内の懸案は待ったなしに迫っている。

 韓国GM、錦湖タイヤ、どちらも「雇用(を増やす)大統領」と自称する文氏を直撃する。下手をすれば、支持勢力の労組を敵に回す。逆に動けば、国費による企業救済の歯止めを失う。

 さらに李明博(イ・ミョンバク)元大統領をめぐる問題がある。保守系紙・朝鮮日報(1月28日)は「(李氏の)主な側近は既に拘束され、前々大統領の監獄行きは秒読み段階に入った」と伝えている。

 韓国のマスコミは、外国人記者のお世辞コメントなどを手がかりに「平昌冬季五輪は国際社会で“文化強国”としての韓国の地位を確固たるものにする礎になった」(聯合ニュース2月25日)などと、はしゃいでいるが、そんな五輪の余熱がいつまでも続くものか。

 失業者が増大する中での「左右の激突」という激痛が、いま韓国を襲おうとしている。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。著書・共著に『悪韓論』(新潮新書)、『崩韓論』(飛鳥新社)、『韓国リスク』(産経新聞出版)など多数。

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