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朝日“対中忖度”の伝統… プーチン氏に厳しく習氏に甘い 独裁者2人に真逆の評価

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 中国とロシアで3月、指導者の「権力の強大化」が行われた。中国の全国人民代表大会(全人代=国会)で同月11日、国家主席の任期制限が撤廃され、習近平国家主席の「終身独裁」が可能となった。ロシア大統領選で同月18日、ウラジーミル・プーチン大統領が通算4選を果たした。

 この権力の強大化について、朝日新聞はかなり異なった評価を下している。プーチン氏には極めて厳しいが、習氏には極めて寛容なのだ。

 朝日新聞は3月20日、《プーチン氏4選 深まる独裁色への懸念》と題する社説で、「個人の権威に頼る独裁的な統治が、いっそう強まることが懸念される」とし、クリミア半島併合や核戦力の誇示について、「いずれも、世界の秩序に責任を負う国連安保理常任理事国として、極めて不適切なふるまいだ」とした。

 また、「外敵の存在を連呼し、『自分以外ではロシアは治まらない』と危機感をあおる統治を続けるなら、国内改革は滞り、国際的な孤立からも抜けだせない」「日本政府も対ロ外交を再考すべきだ」と述べた。

 一方、同月22日の《習政権2期目 社会の変化は阻めない》というタイトルの社説は、「確かに習政権の集権化は、日本を含む主要国の民主主義からは遠ざかるように見える」「一方で、この大国の中では別の大きな変化も起きていることを見過ごしてはなるまい」「世界の多様な社会のあり方への知見を広めるにつれ、ものを言う自由への要求が高まるのは自然であり、それは中国で少しずつ浸透している」と極めて楽観的である。

 そして、「習政権が市民のネットでのやりとりを監視したり、街頭に監視カメラを並べたりするのは、社会の力量が増したことへの警戒感のためでもあろう」と、独裁者の強権支配に対し、あきれるほどの理解と同情まで、堂々と表明しているのである。

 だが、プーチン氏と習氏を比べて、どちらが、より専制的な強権支配者であるかは、あまりにも明らかではないか。

 プーチン氏は、不完全であるとはいえ選挙で選ばれた大統領である。他方、習氏は共産党1党支配による完全な独裁者であり、しかも終身的な独裁体制まで確立した。

 実は、この両者への極端な差別待遇は、朝日新聞の関連記事の絵見出しである「アイコン」にも明確に表れていた。

 前者の「プーチン帝国 2018ロシア大統領選」に対し、後者は単に「全人代 2018」だった。現代の皇帝となった習氏が君臨する中国の方が、はるかに習帝国と呼ぶにふさわしい。

 中国の文化大革命期(1966~76年)、当時の広岡知男社長が説いた「歴史の目撃者」論以来の“対中忖度(そんたく)”の伝統が、現在でも強力に存続していることの、何よりの証拠ではないのか。

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、夕刊紙や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に「虐日偽善に狂う朝日新聞」(日新報道)など。

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