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【有本香の以毒制毒】安倍首相VS朝日新聞 “20年戦争”の始まりを探る

 「平成30年7月豪雨」の被災地では、今日も安否不明の方々の捜索と、復旧作業が続けられている。被災された方々が、いま以上に体調を崩されることのないようにと祈るばかりだ。

 そんななか、発災から約1週間後、テレビのワイドショーをにぎわしていたのが、自民党が5日夜に開いた懇談会「赤坂自民亭」である。私も民放の一番組に出演して、大勢でこの問題を論じたが、正直、途中で虚しくなった。

 被災地では猛暑のなか、懸命な救助・救援が続けられている。その同じとき、遠く東京のスタジオで、事情もロクに知らない者たちが、偽善の仮面を被って、「政府は被災地に寄り添っていない」とか、「政治家は自覚が足らない」と感情的に言い放つ。

 これつまり、大災害をテレビの「娯楽」にしているのだ。あえてキツイ表現をすると、これは形を変えた「火事場泥棒」みたいなものではないか。出演者の1人であるが、実に後味が悪く、自戒を込めつつ、改めてテレビの怖さ、罪深さを思い知った次第である。

 その数日後、たまたま、お笑いタレントが司会を務めるテレビ番組で、次のように話している映像を見た。

 「昔、えひめ丸の事故ってあったじゃないですか。森さんがゴルフしてたって。あれと一緒じゃないかと思うんですよ」

 彼が言っていたのは、いまから17年前、2001年2月10日に起きた、愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」と、米国の原子力潜水艦の衝突事故の件である。当時の森喜朗首相が事故の一報を受けた後も、ゴルフを続けていたということで大きな批判を浴び、森政権は2カ月後に終焉(しゅうえん)した。

 いま、私の手元に、この事故の翌日の朝刊各紙のコピーがある。将来ある日本の高校生と引率教員らがハワイの海に沈んだ、非常に痛ましい事故。それを全紙が1面トップで報じていた。

 中でも、最も痛烈に1面と中面とで森政権の対応を批判していたのが朝日新聞だ。記事の見出しは、「森首相 一報後もゴルフを続行 官邸で指揮、四時間後」だった。朝日新聞のこの報道が号令となり、その後は連日テレビで、「ゴルフをしていた森けしからん」報道が続いた。

 当の森氏にこのときの状況を聞くと、当時メディアから受けた印象とはまったく違う「真実」が浮かび上がる。だが、それとは別に、この日の朝日新聞の1面には、もう1つ注目すべき記述がある。官房副長官だった「安倍晋三」の名前が複数回、1面に記されているのだ。

 官邸の留守番役だったとはいえ、対応の責任者でもない若手政治家の名が、天下の朝日新聞の1面に繰り返し載り、中面では、その行動が見出しにもなっている。なるほど。「安倍vs朝日」の長い戦いの始まりはこのころだったのかと分かった。

 いま、朝日新聞と一部のテレビ番組が17年前をなぞるように「安倍政権たたき」をしている。「豪雨の発災日に『赤坂自民亭』でビールを飲んでいるなど、けしからん」というストーリーで、だ。

 首相批判、政府批判、政治家批判は大いにやればいい。首相と大新聞の対立も構わない。ただし、傷ついた人、弱き人を利用する卑劣なまねはご法度とすべきだ。つくづく、こんな法律が欲しいと思う、今日このごろである。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実 』(幻冬舎文庫)など多数。

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