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「#MeToo」運動とメディアでのセクハラ 朝日新聞“あの件”どうなった?

★(5)

 いわゆる「セクハラ問題」が、昨年から今年にかけて、大いに話題になっている。それはドナルド・トランプ大統領が誕生したころ米国で注目されはじめ、次いで世界に拡大したようだ。

 ハリウッド映画界の大物プロデューサーへの告発から生み出された言葉に、「#MeToo」(『私も』の意)なるものがある、日本文でもアルファベットをそのまま使うのが、なぜか原則であるらしい。

 「#MeToo」現象は、日本にも持ち込まれ、女性の人権問題にはとりわけ熱心な朝日新聞も、当然大きく取り上げるようになった。

 例えば、オピニオンの「フォーラム」欄では、1月15日から「『#MeToo』どう考える?」と題する大型記事を、5回連載した。日本版「#MeToo」の代表といえる人物は、元TBS記者を告発した女性で、名乗り出て著書まで出版し、その勇気を称賛する人々も多かった。

 4月になると財務事務次官という高級官僚が、テレビ朝日の女性記者に、セクハラ発言をしたと問題になり、とうとう辞任に追い込まれた。ただし、この女性記者は自らはまったく名乗らず、今でも実名は公表されていない。

 つまり、「#MeToo」行為を行わなかったのである。「#MeToo」運動を積極的に応援した朝日新聞は、どう思っているのだろうか。

 朝日新聞が、この2つのセクハラ問題に熱心だった一因は、元TBS記者が安倍晋三首相と入魂(じっこん)の人物であり、財務省が「モリカケ」問題で批判されていたからではなかったのか。要するに、その本質は「安倍政権バッシング」ではないかと思われてならない。

 この2つの件では、加害者と被害者がメディア関係者であったが、5月になると、17日に「性暴力と報道対話の会」から、21日に「メディアにおけるセクハラを考える会」から、セクハラの実情が報告された。

 加害者の内訳は取材先のほか、上司や先輩も少なくなかったという。社内セクハラが極めて深刻であることが明らかになった。

 実は、朝日新聞も先のフォーラムの4回目(1月28日)で、メディア社会のセクハラ調査を行っているが、「相手は『社内の先輩、同僚』と『取材先』が多くを占めました」と、わずかに触れるだけで、全然踏み込んでいない。

 2つの報告とほぼ同時期の、『週刊文春』5月31日号に「朝日新聞女性記者が上司から無理やりキス!?」というタイトルの記事が出た。

 この記事の広告は、朝日新聞にも出ているから、まったくの虚報ではないと思われる。この件はその後どうなったのであろうか。「モリカケ」問題で、安倍首相の疑惑を徹底追及してやまない朝日新聞には、明確に説明する責任があるのではないか。=おわり

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、夕刊紙や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に『虐日偽善に狂う朝日新聞』(日新報道)など。

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