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揺るがない安倍首相「3選」と大叔父・佐藤栄作氏の教訓

 自民党の石破茂元幹事長は10日夕、国会内で記者会見し、9月の党総裁選に出馬すると正式表明した。「森友・加計学園」などを念頭に置き、「政治が国民の皆さま方に対して、誠実で謙虚で正直に勇気を持って真実を語る姿勢が必要だ」「今日の政治が国民から信頼を得ているかが、今回の総裁選で問われている」などと述べた。

 要は、石破氏自らが、安倍晋三首相(総裁)に“ガチンコ相撲”を挑むという「果たし状」である。

 総裁選の勝敗は自明であり、安倍首相の「総裁3選」は揺るがない。

 だが、注目すべきは安倍首相の勝ち方である。国会議員405票の7割以上が安倍首相に一票を投じることは確実だ。

 ところが、今回の総裁選は地方票(405票)の行方が読みにくい。石破氏が地方票の半数近くを獲得すれば、大善戦といえる。

 他方、安倍首相が、石破氏を完膚なきまでに圧勝すれば、今秋以降、首相の求心力はさらに高まる。それは総裁選後に行われる内閣改造・党役員人事に反映する。

 ここで想起されるのは、1970年10月、佐藤栄作首相が、三木武夫氏らを破って4選を果たした総裁選である。

 当時の宏池会(現岸田派)会長だった前尾繁三郎氏は、佐藤氏から総裁選後の人事での処遇を約束されて、出馬を見送った。現在の岸田文雄政調会長をほうふつする故事である。

 佐藤氏は、リチャード・ニクソン米大統領(当時)との沖縄返還合意を引っ提げて戦った前年12月の衆院選で圧勝したこともあり、得意の絶頂にあった。今で言う「佐藤1強」状態である。

 そして、佐藤氏は、前尾氏との密約を反故にして内閣改造をしなかった。加えて、党内で熾烈な多数派工作を行って、総裁選勝利に導いた最大の功労者である田中角栄幹事長(同)を後に通産相へ転じ、敵に回すことになった。

 そもそもは、佐藤氏の兄、岸信介元首相が、福田赳夫蔵相(同)の後継首相を確実にするため、総裁4選を断念して福田氏に禅譲すべきだと進言したが、それを佐藤氏が拒絶したことから始まった。

 佐藤政権は70年総裁選後の人事見送り以降、加速度がつくかのようにレームダック化が進み、1年半後の総裁選で田中氏が総裁の座を射止めた。

 安倍首相が大叔父、佐藤氏の轍を踏むとは思えない。麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、二階俊博幹事長は続投ということだ。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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