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トランプ大統領の「人事」 紛糾する国々との交渉には専門家を起用 対中、対露は自ら主導の決意か

 ドナルド・トランプ米大統領自らが陣頭指揮を執り、対中、対露交渉に臨む決意であることを理解できる「人事」がある。それは、トランプ氏がこの10日間に発令した国務省の地域・国別特別代表人事である。

 新しい発令から見てみよう。まず、スティーブン・ビーガン=フォード・モーター副社長が、北朝鮮政策担当特別代表に起用された。

 ビーガン氏は、ブッシュ(子)政権時のコンドリーザ・ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の上級顧問を務めた。もともとは、米上院外交委員会首席補佐官などを歴任した外交政策のプロだ。

 次は、ブライアン・フック国務省政策企画局長が兼務のままイラン政策担当特別代表に指名された人事。

 国連代表部上級顧問、国務次官補(国際機関担当)などを歴任した生え抜きだが、2012年大統領予備選でミット・ロムニー共和党候補の外交政策顧問に就任。17年1月のトランプ政権誕生でレックス・ティラーソン前国務長官によって起用された。

 3人目は、ジム・ジェフリー=シリア政策担当特別代表である。ビーガン氏同様にライス大統領補佐官の上級顧問(イラク担当)を務め、ライス氏が国務長官に転出したことでその後任に就任。その後、イラク、トルコ大使を歴任した中東問題専門家。

 4人目がザルメイ・ハリルザド=アフガニスタン政策担当特別代表である。正式発令は間もなく発表される。

 アフガン生まれの同氏はベイルートのアメリカン大学を卒業後、米国に移住。シガゴ大学で博士号取得、コロンビア大学大学院助教授を経て1985年に国務省に入省。

 その後、国防次官補代理、ブッシュ(子)政権の国家安全保障会議(NSC)大統領特別補佐官などを経て、アフガン大使、イラク大使、国連大使を務めた。

 こうしてみると分かるように、いずれもが国務省か米上院外交委員会勤務を経て、ブッシュ共和党政権時にホワイトハウス勤務経験がある者ばかり。

 トランプ氏は、紛糾する国々との交渉には専門家を実務責任者として起用したのだ。換言すれば、対中、対露外交・安全保障政策と通商・貿易政策は自らが主導するという意思表示でもある。

 そして、本稿の結論は、米中貿易戦争の先行きは少なくとも米側からの対中譲歩が期待できないということだ。

 自民党総裁選(9月20日投開票)を控えた安倍晋三首相の最大の悩みはそこにある。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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