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総裁選は「緊急時のリーダー能力」見抜く機会 メディアは“建設的”な報道を

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 台風が、大地震が、日本列島を襲う。そんななか、自民党総裁選が7日、告示された。事実上の内閣総理大臣選出選挙の意味を持つ総裁選は、「緊急時にリーダーとして、どう対応できるか」の能力を見抜く機会でもある。

 大災害は突然襲い掛かって来る。その時に、どう冷静沈着に国家機関を機能的に指揮し、被害を最小限にとどめることができるかが問われる。阪神淡路大震災時の村山富市首相、東日本大震災時の菅直人首相のうろたえた姿が想起される。

 この時に訴えるべきは、平時に何をするか明確でない「防災省」の設置でも、総裁選の延期でもない。何が起きるか分からないなか、日常を淡々と過ごしながら現実を前に進めることだ。

 総裁選は、国会議員票の9割近くを固めたとされる安倍晋三首相(総裁)の圧勝と予想され、「連続3選」が確実視されている。石破茂元幹事長は党員票に期待している。

 総裁選では憲法改正も争点となる。

 安倍首相は自衛隊を憲法に位置付け、正統性を与えることを主張している。石破氏は、本来は9条2項削除、自衛軍保持、集団的自衛権の全面行使のはずだが、9条改正は優先順位が低いと言い出している。

 大部分のメディアは「安倍嫌い」が病膏肓(こうこう)に入っているためか、石破氏支援に傾いている。本来なら、9条2項を削除し、「軍」を保持するとする石破氏の主張と相いれないメディアの多くが同氏を持ち上げ、安倍首相をこき下ろす。

 不思議な現象だが、「敵の敵は味方」ということか。揚げ足取りでなく、内憂外患を抱えるわが国の今後3年を託すには誰がふさわしいかという観点からの建設的な報道を望みたい。

 自民党総裁選自体の雌雄はほぼ決したが、13日告示、30日投開票の沖縄県知事選は油断できない。結果次第で、安倍首相は3選しても政権運営に苦慮することになるだろう。

 沖縄県知事選は一自治体の首長選挙に止まらない意味を持つ。特に、今回は在任中に逝去した翁長雄志知事の後任を決める。また、沖縄県は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐって、仲井眞弘多前知事が許可した辺野古沿岸の埋め立て承認の撤回を決めたばかりだ。政府と県が対立関係になっている。

 知事選は、翁長氏を支持した左翼陣営主軸の「オール沖縄」の流れを継承するか、自民・公明・維新という保守陣営による新たな県政を築くかの選択となる。

 翁長氏の後継者が引き続き県政を担うことになれば、辺野古への基地移転は先延ばしになる。政府との対立関係も解消されない。影響は日米関係にも及ぶ。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士課程中退。専攻は憲法学、思想史、国家論、人権論。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。教育再生実行会議委員、法制審議会民法(相続関係)部会委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長など。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)など多数。

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