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トランプ大統領、中国との「デジタル覇権」に本気モード

 今、この原稿をワシントンDCで書いている。11月6日の中間選挙を前にした、米首都の雰囲気を肌身で感じたいと思い、やってきた。

 5日間の滞在中に多くの人たちと会う。杉山晋輔駐米大使を始め、米国家安全保障会議(NSC)幹部、元国務省高官、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙ワシントン支局長など、米メディア関係者。

 ドナルド・トランプ大統領は先週、ニューヨークで精力的な首脳外交と国連総会一般討論演説をこなし、意気軒高である。

 1つだけ指摘すべきは、9月26日午後の安倍晋三首相とのトップ会談である。安倍首相は自動車追加関税圧力を「日米物品貿易協定(TAG)」というウルトラCで見事にかわしたことだ。

 それはともかく、調査会社リアル・クリア・ポリティクスの世論調査によると、大統領支持率が急回復、9月末時点で42・9%まで戻している。

 今春から43%超を維持していた支持率が、元選挙対策責任者と顧問弁護士の裁判や「ロシアゲート」捜査の進展などで、8月下旬には40%割れ寸前まで落ち込んでいた。

 日本で浸透しているトランプ氏の印象は、「側近の進言に耳を貸さない超ワンマン」「理にかなった政策より、利を優先する取引(ディール)至上主義者」である。

 ところが、米国民の受け止め方はやや違うようだ。

 3大ネットワークのNBCテレビとWSJ紙共同世論調査を見てみると、それが分かる。

 国民が最も重要だと考える政策は「経済の現状」(78%)なのだ。日本で大騒ぎとなった「貿易」はわずか49%。「ヘルスケア(医療)」(75%)や、「外交・テロ」(66%)、「移民」(64%)、「銃規制」(61%)の後塵(こうじん)を拝している。

 好調な経済を享受する国民の過半は、トランプ氏の強硬な貿易政策がもたらす自らのダメージを実感していないのだ。

 従って、対中、EU、カナダ、メキシコ、そして日本に対する強硬策を容認する。それどころか、デジタル覇権国の米国に挑む中国との貿易戦争に突き進むトランプ氏に拍手喝采なのだ。

 共和党系ロビイストのカール・アイゼルバーグ氏は興味深い指摘をした。

 「中国のBATと呼ばれる3大IT企業『バイドゥ(百度)』『アリババ』『テンセント』は、売上高こそアップルの10分の1ですが、純利益率は互角で、『アマゾン』や『アルファベット』(=グーグルを傘下に持つ持ち株会社)を上回ります。これに米シリコンバレーは危機感を持っている」

 要は、トランプ氏の中国とのデジタル覇権争いは超マジということなのだ。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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