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「70歳の中途採用」は絵に描いた餅で終わるか…

 22日午後、首相官邸で未来投資会議(議長・安倍晋三首相)が開かれた。24日召集の臨時国会で、安倍首相が所信表明演説でも言及した「全世代型社会保障制度改革」の第1弾として、高齢者雇用制度の見直しがテーマであった。

 最近、新聞紙上で大きく取り上げられている企業の継続雇用年齢を65歳から70歳に引き上げることが、その“目玉”である。

 2017年時点での人口構成を見てみると、「団塊の世代」のトップランナーである1947(昭和22)年生まれの70歳は男女合わせて約268万人(男137万、女130万人)である。

 続く、48(同23)年生まれの69歳は男137万、女130万人。49(同24)年生まれの68歳が男138万、女131万人。

 安倍首相は未来投資会議で来年夏までに改革の具体策を固めた上で法案を国会に提出・成立を目指すと言明した。

 従って、「70歳の中途採用」の対象となるのは、このうちの男性約412万人で、その中でも引き続き働く意思、体力、技術(専門性)がある人たちを念頭に置いている。

 たとえ政府が「中途採用市場拡大」の旗を振っても、本人のヤル気と企業側の受け入れ態勢(制度)が整備されなければ絵に描いた餅に終わる。

 筆者を含めて、団塊の世代は2024年に全員75歳になる。

 手元に、財務省が10月に作成した「我が国の財政をめぐる現状等について」と題されたA4版冊子がある。

 国の一般会計歳出・歳入の1990年と2018年の比較データが記載されている。歳出のうち社会保障関係費が21・4兆円増えて33兆円に達した。歳入(税収)は58兆円から59・1兆円の微増に過ぎない。

 同世代に関わる年金支給、医療・介護費支出などすべてが、この65歳から75歳にかけてターニングポイントになることが分かる。

 次に、日本の生産年齢人口(15~64歳)一人当たりのGDP(国内総生産)の変遷を見てみる。

 アジア金融危機に見舞われた97年の870万人が、17年には759万人と12・9%も減少している。その一人当たりの名目GDPは02年まで急減、一時回復したが08年から11年まで再び減少した。

 16年には97年当時の612・7万円をクリアして昨年は722・3万円となった。この間の生産年齢人口減が基調にあるが、それほど悪い数字ではなかった。

 要は、働けるうちは働けということなのだ。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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