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「漫画の原画」相続時には課税対象に!? 村上春樹さんは母校に生原稿を寄贈

 日本の漫画界の巨匠、手塚治虫の原画1枚が、オークションにかけられ、880万円で落札されたと報道されました。日本の漫画界のレジェンドの手塚治虫は、海外での評価が高く、フランスの競売では、約3500万円の値段がついた例もあります。

 漫画の原画に美術品並みの値段がつくと、どんなことが起こるでしょうか。漫画家は、原画を所有するだけで億万長者になってウハウハ-とはいかないのです。

 実は相続時、原画が課税対象となる可能性があります。例えば原画1枚10万円の価値があるとしても、漫画家は単行本1冊につき約200枚の原画を使います。漫画はシリーズものが多く、大御所はトータル100冊ぐらい出版しています。となると2万枚の原画で約20億円が課税対象となり、家族が数億円を払うこととなります。

 現実では、原画に多額の課税を課した話は聞いていません。それは、漫画家が事前に、予防線を張っているからです。

 最近のニュースだと、作家の村上春樹さんが、母校の早稲田大学に、過去30年で集めた蔵書やレコード、資料、創作ノート、生原稿を寄贈(一部寄託)をしています。

 これは村上さんが先手を打って、資料や原稿の流出防止策を行ったのだと思います。村上さんには、子供がいなく、相続する人物がいない。ゆえに将来、管理者がいないと一級の創作資料が散ってしまう恐れがあるのです。

 ポイントは生原稿も寄贈していることです。以前、村上さんの直筆原稿が、オークションに出回って、大騒ぎになったことがありますからね。

 有名漫画家なら、自らの名前を冠したミュージアムに、原画を一括寄贈するプランがあります。中堅の漫画家なら、母校や地元の自治体や図書館に預ける手段もあります。

 漫画の原画は、漫画家の所有物で、オークションに出回ることがまれです。原画を管理する出版社の編集者が、紛失する場合はありますけど。

 漫画家はオークションで、自分の作品に高額な値段がつけば、漫画全体の価値が高められたと、その場は喜びます。けど値段がついた以上は、寄贈の準備をしておかないと。

 ちなみに色紙に書いたイラスト付きの直筆サインも、高値で取引されます。その予防線として、高名な漫画家は、全て「宛名」を添えて色紙を書きます。宛名がある色紙は、出品元が判明するので、まず出回らないというわけです。

 ■木村和久(きむら・かずひさ) コラムニスト。本連載と日刊SPA!の連載をまとめた近著「50歳からのかろやか人生」(雷鳥社)が発売中。

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