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ルーレットもブラックジャックも、お相手は“電子の人”

★松井政就 ニューヨークカジノリポート(3)

 ニューヨーク郊外にあるリゾートワールド・カジノ・ニューヨークシティ。アクアダクト競馬場に併設された「レーシノ」という点で従来のカジノにはない新しい一面を持つが、ここは別の点でも他のカジノとは違う。

 人間のディーラーが一人もいない、完全に電子化されたカジノなのだ。スロットやビデオポーカーは元から機械式ゲームだからいいが、ルーレットやブラックジャックなど人間のディーラーが相手をするはずのゲームまで全部電子化されている。

 パッと見、日本のゲームセンターとパチンコ屋が合体して巨大になったようなものだ。おびただしい数のスロットに混じって電子式ブラックジャックやルーレットが十数台置かれている。

 電子式ブラックジャックではCGのディーラーがゲームを進めていたが、ルーレットにはそれすらなく、機械の中で球が自動で回るだけ。

 そうした電子台がガラガラなのを見て、「人間が相手をするテーブルゲーム派」として安堵したのはさておき、これをテーブルゲームと呼ぶのは、やはり違和感があった。

 そんな台で黙々と賭けるオジサンがいたので、迷惑かと思いながらも「機械相手で面白いですか?」と聞くと、意外な答えが返ってきた。

 「人間相手はめんどくせえんだ。こっちのほうが気楽でいいよ」

 その答えかたがいかにも面倒くさそうで、たしかにそういう人がいてもいいとは思ったが、だからといってそれが主流になるのも困りものだ。

 なぜなら、人間のディーラーであれば、賭けるのが間に合わない時も「ちょっと待って」と言えば待ってくれるが、機械式の“ニセモノ”ではまさに機械的に賭けが締め切られ、ゲームが一方的にスタートする。

 もちろんこれも認可された台だからニセモノ呼ばわりするのは失礼だが、ぼくにはやっぱりニセモノに見える。

 ディーラー相手と機械相手とでは、異性と付き合うこととスマホの恋愛ゲームをすることくらいの違いがあると思うが、最近は人間の異性よりもCGのキャラクターに本気で恋する人も増えているくらいだから、ぼくのような考え方は古いのかもしれない。

 でもやっぱり人間が相手をしてこそのテーブルゲームだし、ルーレットにディーラーがいなきゃチップを投げて「ぼくの数字に入れて」と頼むこともできない。

 中国のテレビでついにAIのアナウンサーが登場したように、ディーラーもいずれAI化され、「ディーラーにチップを投げる」なんてボタンも当たり前になり、CGのディーラーにチップを弾む時代が来るのかもしれないが、そんなカジノ、嫌だなぁ~。(作家・松井政就)

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