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沖縄県民投票は基地反対派による「制度の悪用」だ 県民の基地負担軽減の妨げに

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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非を問う県民投票が、来年1月末か2月ごろ実施される。住民の意思を明確化する制度自体は意義深いものだが、この県民投票に関しては、基地反対派による「制度の悪用」だと思わざるを得ない。県民の基地負担軽減に水を差すからだ。県内の市町村からも疑問の声が上がっている。

 経緯を簡単に説明すると、移設反対派の有志が「沖縄のことは沖縄が決める」と訴え、県内全域から9万人余の署名を集めて県民投票条例制定を請求し、県議会で10月に可決された。有権者は「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」について、賛成か反対の欄に「○」印を書いて投票する。

 9月の沖縄県知事選では、辺野古移設反対の玉城デニー氏が史上最多得票で圧勝した。その直後の県民投票だから、「反対」が多数を占めるのは確実だ。反対派は、今後予想される国と県の法廷闘争で、県民投票の結果を県に有利な材料として使いたい思惑がある。

 辺野古移設が妨害されれば、宜野湾市の中心に位置し「世界一危険」とも称される普天間飛行場の撤去が遠のく。同飛行場を抱える宜野湾市の松川正則市長は「懸念が多過ぎる。普天間飛行場が固定化されるのではないか」と、現時点で県民投票への協力を保留した。

 石垣市議会も、県民投票に反対する意見書を可決した。県民投票が全市町村で実施されるかも危うい。

 ■“誘導的”設問

 県民投票の設問にも“欠陥”がある。

 辺野古には、すでにキャンプ・シュワブという米軍基地があり、それを海域に拡張した部分に同飛行場の代替施設が建設される。何もない所に「辺野古米軍基地」なるものが新設されるわけではない。この設問では、有権者は移設が新基地建設であると誤解し、容易に「反対」に誘導されてしまう。

 ■費用5・5億

 県民投票の費用も5億5000万円と巨額だ。すべて県民の血税であり、県議会でも「子育て支援や老人福祉に回すべきではないか」と批判が上がった。ちなみに石垣島であれば、全児童生徒の給食費を2年間無料化してお釣りがくる額だ。

 この県民投票の根本的な問題点は、国の外交や安全保障政策を、一地方の住民が多数決で左右しようとしていることだ。これがまかり通れば、国の統治は成り立たない。辺野古移設というテーマは、そもそも県民投票では問えないのだ。反対派は、制度をもてあそんでいるとしか思えない。

 玉城知事は県庁に「県民投票推進課」を新設するなど、前のめりの姿勢だ。各市町村には慎重な対応を求めたい。

 ■仲新城誠(なかしんじょう・まこと) 1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県のメディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』(産経新聞出版)、『偏向の沖縄で「第三の新聞」を発行する』(同)など。

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