zakzak

記事詳細

同じ命の問題も…殉職自衛隊員と安田純平さん“報道差別”か

★(3)

 防衛省で10月13日、平成30(2018)年度の自衛隊殉職隊員追悼式が行われ、安倍晋三首相が岩屋毅防衛相とともに参列した。

 産経新聞の翌14日の記事によると、安倍首相は「尊い犠牲を無にすることなく、遺志を受け継ぎ、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜く。世界の平和と安定に貢献するため、全力を尽くす」「強い使命感と責任感を持って職務の遂行に全身全霊をささげた皆さまは、この国の誇りだ。その雄姿と名前を永遠に心に刻みつけていく」と追悼の辞を述べたという。

 さらに、記事を読むと、「慰霊碑には、8月31日までの1年間で公務による死亡の認定を受けた30柱の名簿が新たに奉納されたという。内訳は、陸上自衛隊8柱、海上自衛隊15柱、航空自衛隊6柱、事務官1柱。(中略)自衛隊の前身、警察予備隊が発足して以来の殉職隊員は計1964柱となった」と書かれていた。

 朝日新聞は、この自衛隊殉職隊員追悼式を、まったく報道していない。

 正確に言えば、「文字」としてはある。10月14日朝刊4面の下、前日の「首相動静13日」の欄に、「午前9時58分、東京・市谷本村町の防衛省、自衛隊殉職隊員追悼式に参列し、追悼の辞、献花」と記されている。これでは、きちんと報道したとは言えないだろう。

 ところで、人命に関わる最近の話題といえば、内戦下のシリアで2015年6月に武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平さんが、約3年4カ月ぶりに解放され、10月25日に帰国したことがある。

 この安田さんの解放・帰国について、朝日新聞は驚くほど大量の報道を行った。

 10月24日の朝刊から同日夕刊、25日の朝夕刊、26日朝刊まで、常に1面のトップの扱いであった。

 それだけではない、24日朝刊では11、35面、同夕刊では9面、25日朝刊では2、13、35面、同夕刊では11面、26日朝刊では13、14、34、35面、27日朝刊では38面で報道している。しかも26日の社説(14面)と34面の記事以外は、すべて各面トップの扱いなのだ。いかに熱狂した報道ぶりであるかが、分かるだろう。

 自衛隊殉職隊員と安田さん、同じ命の問題であるのに、あまりにも極端な“差別”ではないのか。

 安田さんに家族がいるなら、殉職した自衛隊員にも多くの家族が存在する。朝日新聞の報道姿勢は、殉職自衛隊員とその家族に対して、あまりにも冷酷・非情であると言わざるを得ない。

 もっとも、自衛隊員が戦闘に巻き込まれて殉職した場合は、朝日新聞は安田さんの解放・帰国報道とは比較にならないほどの、大報道を展開することだろう。

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、新聞や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に『虐日偽善に狂う朝日新聞』(日新報道)など。

関連ニュース

アクセスランキング