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日テレ「イッテQ」は“断罪”も、テレ朝「相棒」では“火消し”? 問題放送への違いに違和感

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 週刊文春の調査報道によって、高視聴率を誇る日本テレビの看板番組「世界の果てまでイッテQ!」に“やらせ疑惑”が浮上した。タレントの宮川大輔さんが世界の祭りに挑戦する企画で、ラオスの「橋祭り」が実際には存在せず、番組がつくったものだったという。

 文春の発売(11月8日)直後、新聞各紙やテレビ各局も後追いしたが、朝日新聞の報道ぶりは極めて熱心であった。

 9日は第二社会面のカタ、10日は第三社会面のトップ、15日は第二社会面のトップ、16日は文化・文芸欄でトップ、同じ16日に第二社会面のトップ、17日は社説、同じ17日に第二社会面のトップ(いずれも朝刊)といった具合である。

 日本テレビに対する追及の態度も厳しく、産経新聞が「やらせ疑惑」と表現するのに対し、朝日新聞は「でっち上げ疑惑」と表現している。

 17日の社説「イッテQ疑惑 放送への信頼傷つけた」では、冒頭で「人気のバラエティー番組にいったい何があったのか。すみやかに真相を明らかにして、社会に報告する責任がある」とし、「娯楽の要素が強いバラエティー番組は報道と違う、多少の演出は必要だ、という声もある。だが、『ない』ものを作り出して『ある』とする行為は、公共をになう放送番組として許されない。(中略)日テレ自身のコメントにあるように『猛省』が必要だ」と“断罪”している。

 この騒動と重なるように、テレビ朝日の人気刑事ドラマ「相棒 シーズン17」に問題が発覚する。11月7日の放送で、薬物依存症の女性が人を殺害するシーンが流れたが、その演出に対する厳しい批判である。

 この問題については、朝日新聞は14日の社会面で報じている。

 国立精神・神経医療研究センターの医師は「白目をむき、予測できない動きをして奇声を発しているが、こんな依存症患者は現実にはいない」「今回の描き方では、依存症の人に対する差別意識だけを強めることになる。『シャブ山シャブ子』という名前も侮蔑的だ」と述べている。

 その後、朝日新聞は23日の文化・文芸欄でも取り上げている。依存症の家族や研究者らでつくる団体が15日、テレビ朝日に抗議文を出したという。

 ただし、記事の末尾で、抗議した団体の女性の話として、《その後、「相棒」のプロデューサーから「何ができるのか社内で協議します。話し合いの場も持ちましょう」と連絡があった》とあり、同女性が「抗議した側が批判されることもあり、声を上げにくい社会でもある。テレ朝は素晴らしい対応をしてくれた」と語っていたのには、少し違和感を覚えた。

 社内の協議や対話の場を持つことを約束したぐらいで、「素晴らしい対応」なのだろうか。朝日新聞が、関連会社であるテレビ朝日の火消しに懸命になっているとは思いたくない。

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、新聞や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に『虐日偽善に狂う朝日新聞』(日新報道)など。

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