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「中国との安全弁」クシュナー氏 トランプ外交の“隠れた”キーマン

 注目された米中貿易戦争をめぐる、ドナルド・トランプ米大統領と、中国の習近平国家主席のトップ会談は決裂に至らず、「一時停戦」で終わった。

 米中首脳会談は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの5つ星ホテル「パラシオドゥハウ・パークハイアット」で1日午後5時半から2時間半行われた。このワーキング・ディナーに出席したメンバーは以下の通り(ホワイトハウス発表の席次順)。

 米国側=トランプ大統領、マイク・ポンペオ国務長官、スティーブン・ムニューシン財務長官、ジョン・ケリー大統領首席補佐官、ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問、ピーター・ナバロ大統領補佐官(通商担当)、ラリー・クドロー大統領補佐官(経済担当)。

 中国側=習主席、丁薛祥共産党中央弁公室主任(習主席の最側近)、劉鶴副首相、楊潔チ党政治局員(外交責任者)、王毅外相、鍾山商務相、王受文商務次官、何立峰国家発展改革委員会主任、崔天凱駐米中国大使。

 米中ともに1プラス8の構成である。

 特筆すべきは、米側に大統領娘婿のクシュナー氏が参席したことだ。事前に予想しなかった。G20(主要20カ国・地域)首脳会議にサウジアラビアのムハンマド皇太子が出席することを発表した時点で気づくべきだった。「カショギ記者殺害事件」で窮地にあるムハンマド皇太子のG20出席は、旧知のクシュナー氏と今後の対応を協議するためだったのだ。

 クシュナー氏は、新NAFTA(北米自由貿易協定)合意で、黒子の役割を果たした。ライトハイザー氏とは会話が成立しないカナダのクリスティア・フリーランド外相と裏面で接触。そして、旧友であるビデガライ・メキシコ外相と落としどころを探り、米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に漕ぎ着けたのである。

 では、今回の「一時停戦」でどのような役割を果たしたのか。

 カウンターパートは楊潔チ氏である。楊氏は魏鳳和国防相を伴い、先にワシントンで開催された「米中2+2対話」に出席、ポンペオ国務長官、ジェームズ・マティス国防長官と会談した。

 その際、非公式にクシュナー氏と会談していた。この間、表舞台から遠ざかり存在感低下が取り沙汰されていたが、同氏は中国との安全弁=ホットラインになったのだ。

 安倍晋三政権にとって正念場になる来年1月からの日米物品貿易協定(TAG)交渉を念頭に置き、クシュナー氏と絶大なる誼(よしみ)を通じる必要があるのだ。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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