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「中華思想」で視野狭窄… ソ連崩壊と似た道を辿る中国

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 米中対決は、どこへ向かうのだろうか?

 習近平国家主席の「中国龍」は、ドナルド・トランプ大統領の「米国鷲」に襲われて、鱗(うろこ)が飛び散るようになっている。

 トランプ政権が、中国という“悪の帝国”を倒す戦略を進めている。

 かつてロナルド・レーガン大統領が、“悪の帝国(Evil empire=イービル・エンパイア)”と極め付けたソ連を追いつめたが、中国もソ連と同じ自壊への道を、進むようになっている。

 ソ連は、効率が悪い計画経済によって病んでいたのに、無人のシベリア沿海州開発に国力を浪費した。東ヨーロッパの衛星諸国という重荷を抱えていたうえに、第三世界に進出するのに力を注いだために、米国との競争に耐えられなくなって、1991年に倒れた。

 ソ連の最高指導者は、非科学的なマルクス主義の予言に従って、「ソ連が世界を支配する」という使命感にとらわれて、世界制覇を急いだために、墓穴を掘った。

 習氏も「偉大な中華文明の復興」という自らの掛け声に陶酔して、見せかけだけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設を強行しており、ソ連が第二次世界大戦後に歩んだ道程に、よく似ている。

 中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウイグル自治区や、チベットをはじめとする西域や、中部や、北部に過大な投資を行っている。

 「一帯一路」計画によって、70カ国近くを“幻(まぼろし)の中華圏”である、仮想空間に取り込もうとしているが、多くのアジア諸国で挫折するようになっている。

 ソ連は50年代から、日本についで経済成長率が高かった。ソ連は57年に米国に先駆けて人工衛星「スプートニク」を軌道に乗せ、4年後に世界最初の有人衛星飛行を行って、米国を震駭(しんがい)させたものだった。

 ソ連は70年代に入ると、少子高齢化が進んで、旺盛な高度成長を支えた豊富で安い労働力が失われるようになった。中国でいま、同じことが起こっている。

 中国の指導部は、何千年にわたって「自分が世界の中心だ」という中華思想を患ってきたので、傲慢に振る舞ってきたために、まともに対外戦略を立てられない。

 私は中華思想を“中禍思想”と呼んできた。ウラジーミル・プーチン大統領のロシアは戦略が巧みなのに、中国は中華主義による自家中毒に陥って、視野が狭窄(きょうさく)している。

 日本は米中対決の狭(はざ)間にある。米国が勝つことになるから勝ち組につくべきだ。

 ■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『神道が世界を救う』(勉誠出版)、『新・東京裁判論』(産経新聞出版)など多数。

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