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「不満は首相に」ガス抜き戦略も…プーチン大統領に国民の不満爆発

 ロシアのプーチン大統領は20日、年末恒例の大規模記者会見をモスクワで開いた。今回は国内外約1700人の記者が参加。質問者は大統領とぺスコフ報道官が選ぶので、記者らは手を挙げるだけでなく質問内容などを書いたプラカードを掲げて注目を引いていた。それに1つずつ答えて、会見は約4時間。毎年のことながら「よくやるな」と思った。

 記者からの質問は経済問題が大半を占めたが、中には「結婚はしないのか?」というものもあった。それに対して、大統領は「しかるべき地位のある人間として、いつかは再婚しなければならないだろう」と答えていた。5年前にリュドミラ夫人と離婚し、アテネ五輪新体操の金メダリスト、アリーナ・カバエワ議員と再婚するとみんなが思っているが、それは認めなかった。

 日本の記者の日露平和条約締結交渉に関連した質問にも答えた。北方領土については、私が長く指摘していた通り、「平和条約は結びたいが、(日ソ共同宣言に明記されている)歯舞群島、色丹島を日本に引き渡した後、米軍が駐留する可能性はないのか。日本はきちんと米国を説得できるのか。そういった安全保障上の問題への回答なしに、われわれは重要な決定を下せない」と、けっこうわかりやすく語っていた。

 1700人の中には、記者だけでなく一般の人もいたと思う。昨年も中年男が面白い質問というか、要求をしていた。「大統領と仲がいい国営エネルギー企業のガスプロムのパイプラインが、田舎に住む自分の家の近くまできていない。どうなっているんだ」と文句を言っていたのだ。「このおっさん、勇気あるな」とハラハラしながら見ていた。

 大統領は「君の州や街まではガスプロムがちゃんときている。そこから先、君の家までは地方の政府の仕事だ」と答えていた。この説明に、おっさんはデカイ声で「イカサマだ」と叫んでいた。

 万全と思われていたプーチン政権に対する批判も最近高まっている。ロシア極東の要衝ウラジオストクを抱え、日本海に面する沿海地方の知事選が16日に投開票され、プーチン大統領が支持するコジェミャコ知事代行が露骨な肩入れによってかろうじて勝利した。経済の停滞に苦しむ地方を中心に政権への不満は根強い。

 プーチン大統領の支持率は、経済が低迷し、多くの国民が厳しい生活をしているのにもかかわらず、一時は89%と圧倒的だった。しかし、ここにきて67%にまで下降している。一方、メドベージェフ首相の率いる「政府」は不支持が相変わらず高い。これまで「不満は首相に」というガス抜き戦略を続けてきたが、プーチン大統領自身がテレビで説明した年金問題で国民の不満が一気に爆発してしまった。

 ロシア政府はこの6月、来年から年金の開始年齢を段階的に引き上げ、女性は55歳から63歳、男性は60歳から65歳にするという年金改革案を提案した。これがとんでもない反発を食らった。その後、一部修正して、女性の受給開始年齢の引き上げ幅を緩和したが、国民の不満は続いている。

 本来、ロシア人の平均寿命は短いのだから、遠い将来の財政圧迫など気にしないで年金なんて放っておけばいいのに、正直にここから手をつけてしまった。策略家のプーチン大統領にしてはちょっと不用意だった。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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