zakzak

記事詳細

併合条約「無効」と解釈する韓国の都合よさ 「大人な判断」のツケ50年超

★(3)

 韓国の公定史観では、「大韓民国臨時政府」が日本統治時代の正統な政権であり、大日本帝国による統治は偽物の政権による「不法」な侵略である。その「不法」な統治において、日本企業が「強制的な労役」という不法行為を行った。その責任を問い、慰謝料などの損害賠償を行えというのが、韓国最高裁などの一連の判決だ。

 韓国側が日本による韓国統治を「不法」と言い張る根拠は、1910年に大日本帝国と大韓帝国とで締結した韓国併合条約が「無効」であるとの認識だ。韓国内では当時からそのような主張がなされ、「大韓民国臨時政府」も条約の「無効」を主張していた。41年12月10日付の「対日宣戦布告文」にも「無効」との記述がある。

 なお、「大韓民国臨時政府」を名乗る団体は30以上あり、いずれも数十人程度に過ぎないとされる。対日宣戦布告文は、その中で最大の金九(キム・グ)を代表とする団体が発表したものだ。

 65年に日韓基本条約を締結する際にも、韓国側は併合条約の「無効」を主張した。10年当時も現在も、「無効」説は欧米を含めて国際社会ではまったく受け入れられないが、韓国は日韓基本条約締結時も主張した。日本側が受け入れるはずもなく、結局、「もはや無効」という文言で落ち着いた。英文では《already null and void》とされた。

 日本側の主張は、併合条約の締結は有効だったが、敗戦により韓国から退却し、その後、大韓民国が建国されたので今となっては無効という意味で「もはや無効」とした。

 しかし、韓国側は都合よく解釈し、「もはや(already)」の部分を無視して「当初より無効」と理解した。

 日本側も、英文が「もはや無効」で確定したことから、韓国側の非を追及しなかった。国交正常化が至上命題であったからだが、その「大人な判断」のツケが50年以上経って回ってきたのだ。

 韓国は国内で一方的に日韓基本条約において韓国併合条約の「無効」が認められたとし、国際法上「無効」な統治の時代に民間企業が行ったことは「不法」であるとして、その不法行為責任を問い、損害賠償しろと言い始めたのだ。

 この理屈で言えば、企業だけでなく、日本の民間人が統治時代に行ったことは、すべて「不法」になる。日本語教育や創氏改名、神社参拝などはもちろん、企業や商店が韓国人を通常に雇用したこと自体も「不法」となる。全体として日本統治自体の不法行為責任を問おうというのだ。

 もちろん、国際社会では受け入れられない。そのため日本統治時代の「残虐」性を訴えようとしている。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士後期課程退学。専攻は憲法学、思想史。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。教育再生実行会議委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)など多数。

関連ニュース

アクセスランキング