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戦時労働者を「奴隷労働者」と捏造… 韓国の“異常な論理”を北朝鮮が凝視するワケ

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 ソウル高裁が11日に日立造船に損害賠償を命じた判決は、「強制的な労役に動員された被徴用者の個人的な損害賠償請求権は、1965年の(日韓)請求権協定では消滅しない」と判断した。提訴期限を過ぎており、無効だとする日立側の主張も認めなかった(ソウル時事12日付)。

 やや分かり難いが、ここでいう「個人的な損害賠償請求権」は、日韓請求権協定で残されたとされる未払い賃金や補償金を払えというものではない。10年以来の日本統治自体を「不法」とし、その間の日本企業による「労役」をも「不法」として、その民法上の不法行為責任を問い、損害賠償をしろと言っているのである。

 そして、その意味で「日韓請求権協定では消滅しない」と言っている。要するに、請求権協定の枠外の新たな損害賠償請求権だということだ。韓国最高裁の10月30日の判決と同様の理屈なのだ。

 厄介なことに、この損害賠償請求権は相続できる。戦時労働者は亡くなっても遺族が継承できる。さらに言うと、日本統治時代のすべての行為が「不法」であり、その不法行為責任を問えるとするため、今後、韓国の全国民が損害賠償請求権を持つことができる。

 そして、その姿を北朝鮮の当局が凝視している。韓国の国民5000万人に当てはまることは、北朝鮮の国民にも当てはまる。北朝鮮の2500万人が損害賠償請求権を持つことになる。民族を挙げての「狂気の懲罰」は日本企業から富を収奪し、丸裸にしようとしている。

 こんな理屈が国際社会に通るはずがない。

 日本政府も、日本統治時代自体を「不法」な統治とする、韓国併合条約の「当初より無効」論は受け入れられない。65年の日韓基本条約締結時に「もはや無効」とし、日本統治時代自体は合法的な支配とした。そのうえで、日本統治時代の請求権問題に関しては日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」とした。

 それらをすべてひっくり返して、請求権協定の「枠外」の慰謝料や損害の請求権を設定されても、「話が違う」というものだ。

 韓国側も理屈が立たないことは百も承知だ。が、「懲罰」や「復讐(ふくしゅう)」の感情を抑えられない。無理な理屈を通すには国際世論に訴えるしかない。そこで考え出したのが高裁判決でもいう「強制的な労役に動員された被徴用工」という“奴隷労働者”としての姿だ。

 慰安婦を「セックス・スレイブ(性奴隷)」と位置づけたのに続いて、戦時労働者(いわゆる徴用工)を「スレイブ・レイバー(奴隷労働者)」とし、その悲惨な処遇を捏造(ねつぞう)しているのだ。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士後期課程退学。専攻は憲法学、思想史。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。教育再生実行会議委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)など多数。

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