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ほほえましい午後6時の「助けて」コール

 ドブラヴィーチェル、親愛なる日本の皆様!

 今回は、ロシアの救急隊員のお話の後編になります!

 救急車に乗りながら医学研修中の私は、その後、いくつかの交通事故の処理に忙殺された後、真夜中に1本の緊急コールを受けました。「ウラルマッシュ地区で血だらけの男が倒れている」という連絡を受け、隊員と一緒に救急車に飛び乗った私は、その時、緊張で顔がこわばっていました。

 なぜなら、その地域はロシアでも有名なマフィアの地で、特に夜中にかかってくる緊急コールの90%はその地域からだと聞いていたからです。

 現場に到着した私たちが見たのは、地区の安食堂近くの芝生の上に横たわっていた労働者風の中年男でした。その男の服はビリビリに破れ、頭からは大量の血が流れ出ていました。

 目撃者の証言によると、その男は食堂内で他の客との口論から暴力沙汰に発展し、最終的には警備の男たちにつまみ出されて、食堂の外に投げ捨てられたという事でした。

 事情を聴いた私たち救急隊員が、その男をストレッチャーに乗せようとした時に、意識のない彼は痙攣しながら足をバタバタさせましたが、何とか彼をストレッチャーに縛り付けることができ、車は発進しました。

 しかし、救急車が発車した瞬間、その男は急に意識を取り戻して車内で暴れまくりました。車内は大きく揺れるし、医者は蹴られるしで、その時は病院に到着するまで一切気が抜けませんでした。

 しかし、このように毎日神経を張り詰めながら職務を遂行する救急隊員たちにもほほえましい出来事があります。それは、毎日同じ時間に救急車を呼ぶ1人の年配女性のことです。

 彼女は、毎日、時計が午後6時を回った頃に「ぜんそく発作を起こしたので、今すぐ助けてください」と連絡してきます。しかし、すべての隊員は「またか(笑)」という表情で、別段急いでる様子はありません。私たちは少し遅れて女性のアパートに到着し、いつものように、彼女の腕にエピネフリンを注射してあげると、彼女は必ず幸せな表情になり、隊員たちに感謝の言葉を伝えるのでした。単に彼女は寂しかったのかもしれませんね(笑)

 ロシアでも日本でも日夜、人の命を救うために奔走している救急隊員の方々、また、人の魂を救うために人生を捧げる勇気のある人々を敬うのは同じです。

 では、ダフストレーチ(また会いましょう)!

■ジュリア・ミント 1994年ロシア連邦バシコルトスタン共和国生まれ。エカテリンブルグの医科大を経て、現在は大学院で眼科学を専攻する傍ら、日本人コンポーザーTAMAKIと共にノーザンスタイル・ダンスミュージック・ユニット“Crystal Mint”を結成。シンガーとして、主にヨーロッパで活動中。特技は英語、腕立て伏せ。(crystalmint.info)

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